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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2012年 03月 07日

懐古譚 : 2007 Guide Michelin France

 本ブログはまだ始めて数ヶ月。
 かつての、Guide Michelin France 発表時の空気を回顧してみる。

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懐古譚 : 2007 Guide Michelin France_e0254271_1484982.jpg参考:2007版発表時の感想

 ~ 2007年はついに、1月のうちにフィガロが内容をすっぱ抜き。
日記に「戦後も還暦を迎えた」と書いたように時代の移り変わりの寂しさもあったけど、それ以上に、フィガロが「星のワルツ」と表現したような一種の“華やかさ”が記憶に残る年である。当該時期が暇だったのか、mixiを中心として、ミシュランの星をツマミに盛んに井戸端会議しては飲んでいたような…(笑)。 ~



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[ギド・ミシュラン2007 その1]
 ぼちぼち色々聞こえてくる季節となりました。その前に一つ、
●ピエール・ウィナンスの「コム・シェ・ソワ」が二つ星に降格。27年間、三ツ星を守った。

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[ギド・ミシュラン2007 その2]

●「Antoine Westermannが引退、Buerehieselは三ツ星を返上」との噂です。

 ウィナンス、ヴェスタマンと続くと、「戦後も還暦を迎えた」という時代感を肌で感じる思いがします。
1933 Michel Guerard
1934 Michel Lorain
1936 Fredy Girardet
1937 Alain Chapel
1939 Pierre Wynants
1939 Alain Senderens
1941 Jean Bardet
1941 Gerard Boyer
1941 Eckart Witzigmann
1942 Juan Maria Arzak Arratibel
1943 Georges Blanc
1943 Gerard Vie
1944 Marc Meneau
1945 Joel Robuchon
1946 Antoine Westermann
1946 Michel Bras
1947 Bernard Pacaud
1947 Jacques Lameloise
1947 Michel Trama
1948 Pedro Subijana
1950 Pierre Gagnaire
1951 Bernard Loiseau
1951 Marc Veyrat
1953 Guy Savoy
 第二次大戦をはさんで生まれた才能の大波、「ヌーベルキュイジーヌ」の第一次旗手たちのまさに大団円。
 「ゆく年くる年」の23:50付近を見ている気分ですね(違

懐古譚 : 2007 Guide Michelin France_e0254271_2115043.jpg****************
この時点で、フィガロのスクープをゲンキさんから聞きました。

「凄いです。 星のワルツと題されてフィガロ誌に紹介されただけあります。」

その内容は、
●三ツ星昇格店にパリの 「プレカトラン」「アストランス」「ムーリス」 、ヴァランスの「ピック」 ブルゴーニュの「ラムロワーズ
●二つ星に降格したのは 「ル・サンク」と「タイユヴァン
●「フェルムドモンペール」「ビュイイーゼル」 「エスペランス」は三ツ星消滅
●逆に凄かったのが昇格店の多さ 特にアストランスは速い。プレカトラン・ムーリスも

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[ギド・ミシュラン2007 その3]

 星のワルツ、、、または、盆と暮れが一緒のミシュラン、、、
 …という訳で、ご存知の通り、大変な騒ぎになったようです。[その2]を書いた後、今年は大荒れかもね~、と知人友人と話してたとこでしたが。(俺っていい勘してるだろ…ヽ(^~^;)ノ)
 現在のところ、ソースは基本的に「フィガロ」でしょう。
 あ、まず、「フィガロ」より前に聞いてたのが次の二つ。

L'Esperance」Marc Meneau 閉店
 マルク・ムノーの3つ星レスペランスが事実上倒産状態で、閉店を余儀なくされるだろう、とのこと。
 いやぁ、キッツいですね。
 俺らは三ツ星「復活」後に行ったんだけど、やっぱ、個人的には三ツ星は厳しい感じでした。が。
 三ツ星陥落時に大枚張り込んでしまったのかもしれないし、それを見てミシュランは星を戻さざるを得なかった、のかもしれない。
 相互にとってどうだったんでしょうねぇ、、、
 この巨艦の最後を見るに、「大借金大豪華三ツ星物語」はもうやめにしようよ、 という風潮になって欲しくもあるような、、、 気もします。
 微妙な問題ですけどね。素敵なことをしようと思えば金は かかるし、、、

●「フェルム・ド・モンペール」売却
 ヴェイラの3つ星20点の片翼、モンペールがZannier社に売られたそうです。
 一説にはパリ本格進出を目論んでいるのではないか、とのこと。
 レリダンを残してモンペール売り、なのかぁ。この辺が俺ら的には掴みにくいんだよなぁ、マルク。
 それはともかく、彼の性格を思うに、日本進出とかはないんですかねぇ。「水面下で進んでるんだよ」と言われたら、信じるな(^^;)。

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[ギド・ミシュラン2007 その4]

●「プレカトラン」 、三ツ星獲得
 此処は、料理に関してはどうも不思議で、俺ら行った時、なんか箸にも 棒にもかからなかったんだけどなぁ~、「そうですよねダメ だよね」って声を聞く一方、「良かったよ」って話も沢山ある。
 んなのって、たいていは「趣味が違う」って類の話なんだけど、プレカトランの不思議なのは、共感を持っている知人友人間で、どうにも感想がわかれるんだよなー。
 謎。
 …って料理話を別とすると、容れ物・サービス・ロケーション ・現代の在り方・カーヴ、、、どれをとっても素晴らしい店で、 此処んちの三ツ星は、妥当感アリかな~。 パリではやっぱ、この三ツ星ってのは、「らしい」 とは思うですわ、ネ。

●「アストランス」 、三ツ星獲得
 は、ボクらは全然わかんないけど(カンテサンスもまだ行ってないしなぁ…)、「アストランス大好き」という人でも「よく取れたなぁ、尚早」という感想が、今のところ、目立ちますね。 「アストランスいまいち」派はもとより(^^;)。
 「金かけんでもミシュランは三ツ星出しますよ」的な免罪符にでもしたいのか(笑)。
 ところで、サンドランスの一門はミシュランの星にいつも恵まれるような気がしてならないのだけど。人柄…とか、政治力…とか、がいい芸風なのかしら(^^;)。

●「ムーリス」 、三ツ星獲得
 ヤニク・アレノはテレビで見ただけだー。マダム増井が御贔屓なんですよね。とりあえずパリに行ったら食べてみたい一軒 とは思ったなぁ。
 まぁバックとしてはしっかりしてるし、これはアリなんでしょうね。まだ、30代だよね?

懐古譚 : 2007 Guide Michelin France_e0254271_233215.jpg****************
[ギド・ミシュラン2007 その5]

●「ピック」 、三ツ星獲得
 わおっ!
 なんたって、メール・ブラジエ以来の女性シェフ三ツ星!
 久しぶりにサイトを覗いてみたら、ずいぶんリニューアル してた。なんか、すげぇ顔が、親父に似てきてない、アンヌ ゾフィー? (笑)
 此処は、3つ星じゃないのがおかしい、ってくらいの美点を 山ほど持ってるし、まぁ、堂々の本命の当選ですね。
 しょーじき、行った時の料理はイマイチだったけど、んー、でもそれ以後、更に料理の評判は上がってるし、良くなってるんだろうな、きっと。
 ここはあと、2002年当時には「けっこーキャリテプリ」だと思いました。部屋なんか、近所の「ピラミッド」なんかに比べると、数段上の趣きがあるのに、「安い!」。今も、タリフ を見ると、そんなに高くないですね。
 しかし、3つ星取ると、その良さはなくなっちまうんだろう な(^^;)。

●「ラムロワーズ」、三ツ星復帰
●「ル・サンク」、二ツ星へ降格
 ガイドブック買ってる客から言わせてもらえば(って最近、買ってないけど(^^;))、これはもう、ミシュランが「自らの誤りを認めた」ようなものではないかと、、、、。
 2005年に落としたばっかりのラムロワーズについては何をかいわんや。
 ル・サンクにしても、3,4年前に三ツ星に上げたばっかりでしょ。 この数年でルジャンドルの腕が上がったり下がったりするものか、と。数年前に3つ星にふさわしかったものが今は そうではない、というのか、と(巨大資本もついてるし)。
 そう思うと、「当時の編集長がウカウカとジョルジュ・サンクの接待に乗ってしまったのだよゴメソ」… …とか、そんなんちゃう のか、と… …そんなん妄想しちゃうよ、読者ちゃんは(^^;)。

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[ギド・ミシュラン2007 その6]

●「タイユヴァン」 、二ツ星へ降格
 うーん…。
 最大の激震はひょっとして、これ?
 びっくりですね。ここより古くからの3つ星っていうと、もう、 リルとボキューズくらい?
 近年でも、タイユヴァン行って、「よくなかったよ…」って言うヒト、ほとんど聞いたことないですけどね(^^;)。
 いつものトシさんは「ひょっとしてヴリナさん引退絡みなのか?」とおっしゃいましたが、…このヨミが本線だとは思いますけどね。ミシュランは、主要人物引退は3つ星から落とす、というのを徹底したいのかも。…って、やっぱ、ロワゾーのとこはアンタッチャブっちゃうんやけど(^^;)。
 まぁ、例の年にゴーミヨも一気に2点ダウンしたし、フランス人にはまた違う視点があるのかもしれないけど。
 店内の席次なんかがハッキリしてるのが、前時代的権威主義だ、とか嫌われてたりして。…んー、まぁしかし、なさそうだなぁ… 、、
 料理はどうなんすか。アラン・ソリヴェレ、そんなに古臭い感じじゃないんでそ?

●「エレーヌ・ダローズ」 、三ツ星獲得???
 …という噂も飛び交ってますが、フランソワ・シモンが例の韜晦難解北極海な文章中でアンヌゾフィーに触れるのに引き合いに出しただけなのが誤解されて独り歩きしているんでない?、…というのがトシさんの分析で、今んとこ、多分それがアタリくさいような気がしてます。孫引きの誤謬か。

懐古譚 : 2007 Guide Michelin France_e0254271_2381657.jpg****************
[ギド・ミシュラン2007 その7]

 例年吉例ミシュランだらだら話ですが、結局今年は正式発表前の1月段階の噂の台風で、すっかり燃え尽きちゃいました(^^;)。
 まぁしかし、発表された2007年版は、実際、この段階の噂通りの内容でしたね。
 幾つか、訂正(?)と追加感想を。

●「ル・サンク」降格について
 は、上記の邪推を訂正しなければならない。多くの事情通の指摘する所によると、「ゴタゴタ騒動」が起きていることは確かで、ルジャンドルの去就にも様々な噂が飛び交っているそうな。で、それが降格の主因になっているだろう、と。
 ただし、少なからぬ事情通の指摘する所によると「そもそも3つ星に上げたのが間違い」だそうで、その点については訂正は要らなそう(^^;)。

●俺ら的にめでたい追補
 ブラボ!
・「Les Cedres」、2つ星に昇格
 やっと…、だ。パスカル・レミに「こんないいとこが1つ星…?」的なことを書かれていたので、意地でも上げないのかと思ったらそうでもなかった。料理はこの10年、「2つ星の上」くらいであり続けたんでねーの? それにしても、またもやミシュランは「レストランが大借金して資本投下するとやっと重い腰を上げる」実例を積み上げてしまいましたな(^^;)。そして、証文の出し遅れを更につつく訳じゃないけど、店は、ワシの勘だともうそろそろ上り坂ではないような気もする(これは、ハズれてほしいが)。
・「Sa.Qua.Na」「Youpala Bistrot」に1つ星
 開店すぐに星をゲット。とくにユーパラは開きたてなんで間に合うものかと思ったけど。
 まぁこの2軒は外し得ないですね。どちらも現店には行ってないけど、料理長の力量は既に「まぁまぁの3つ星」には十分と言っても過言ではないしょ。
 どんな店作りをしてるかミシュラン好みか…を見てみないと何とも言えないけど、料理的には、星の短期のホップ・ステップがあるかも。

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ゲンキさん
「そういえば三ツ星レストランを二軒以上持っているシェフが入れる、超限られた倶楽部があるらしいのですが、
メンバーが、ヴェラ・デュカス・そしてブラジエらしいんですよね、ブラジエさん三ツ星二軒持っていたんですか?」

「らしいですね。
Fille de verme , tres vite orpheline, Eugenie Brazier fit briller les etoiles du Michelin dans le ciel lyonnais. En 1933, elle fut la premiere et la seule femme de l'histoire a obtenir trois etoiles pour ses deux restaurants de Lyon et du col de la Luere, ce dernier note au sommet pendant vingt ans.

Les trois etoiles en France
La Mere Brazier / rue Royale
1933-1939
La Mere Brazier / col de la Luere
1933-1938, 1951-1959, 1963-1967

 だと… (^^;)」

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ところで、ピックは、久しぶりの女性三ツ星、という切口が
やはり多いですが、

「実の親子三代の三ツ星ってあまり聞きませんねぇ」

というメールが。
三代、って、実は初?

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ルレドゥートゥィユが1つ星に落ちたらしい。
…ってのはどうでもいいけど、白金「トラッフル」(最近
好調)のシェフのブログが面白かった。
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今年のミシュラン情報をもう一つ。僕がパリで働いていたレストラン
Le relais d'Auteuil(ル ルレ ドートイユ)が二つ星から一つ星に
降格した。そもそもあの店、アフリカ人に魚の下処理を任せていた
のだが、そのアフリカ人は寒いからという理由で、オーナーが
仕入れてきた魚をお湯で洗ってたからなぁ。まあ星も落とすわけだ。

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~ ところで、星の数は違うけど、Tour d'Argentの降格が2006年でTailleventの降格がこの2007年。そして、Claude Terrailが2006年、Claude Vrinatも2008年に永眠する。
 両巨星には残念な最後となってしまった…という話はともかく、本当には、ここで、20世紀のレストラン…というものは、終わってしまった、ということはあるのかもしれない。
 いや勿論、それは、レストランというものの極く一面が失われてしまった…という意味に過ぎないのではあるのだが、しかし、もうこれから、この御両人が健在のTour d'ArgentやTailleventの客として、その席につく、…というような感触、空気、文化のかほり、退廃まで含めて、それを感じ取る時間を得ることは、到底困難なことになってしまったような気がする。 ~


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「楽しいレストラン」
美味しいCDもあります

by aqishii | 2012-03-07 02:03 | Michelin | Comments(0)


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