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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2016年 02月 27日

コラボ:オロマージュな一夜

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10364953.jpg
 [OlO x Hommage Collaboration dinner]
 *H:ラディッシュ 生唐墨
 *O:和牛 パースニップ
 *H:玉葱 ベーコン
 *O:ポリッジ マッシュルーム
 ~
 *O:鰤 ホースラディッシュ
 *H:鮑 白菜
 *O:ポロ葱 ロイロム
 *H:干し海鼠 赤座海老
 *H:仔鳩 墨烏賊
 *O:蝦夷鹿 菊芋
 *O:ヨーグルト 柑橘
 *H:キャラメル 熟成南瓜
 *小桜、カヌレ
 +Champagne / A. Bergere
 +13 Bourgogne Cote Saint-jaques Pinot Gris / Alain Vignot
 +上喜元 雄町・生酛・純吟・中取り 43℃
 +09 Savenniere Clos de Saint Yves / Baumard
 +16 Hanagaki Kijonenpu 三年貯蔵
 +13 Monduse Saint-Jean de la porte / Raviere
 +13 Bailey A VV / タケダ

[AQ!]
「北欧に初の3つ星店誕生!」
 本日はミシュラン北欧版2016の発表日。めでたいニュースに北の大地が揺れた。
 そしてまさにこの日、浅草の地も北欧祭りに踊るのであった。
 ヘルシンキの「オロ」と浅草「オマージュ」のコラボイベントである。
 'Ravintola Olo'から、Restaurateur & Executive chefの Jari Vesivalo とHead Chefの Heikki Liekola を迎えての企画だ。

 料理は、「オロ」と「オマージュ」がひと皿ずつ交互に供して行くシステム。
 ワインペアリングは「オマージュ」側で考案している。

ラディッシュ 生唐墨 H
 唐墨タルトに二十日大根断面の花、パンプルネル・葱。
 荒井さんの「ボクの北欧」って印象。口開けのひと皿だが主張のある味が「本日の開会」宣言。

[へべ]
 これ、それぞれの香りが生きてました!
 小さな一口で、北欧気分が盛り上がります。

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10380926.jpg
和牛 パースニップ O
 和牛に、揚げパースニップの香ばしさ…まではあるかもしれないけど、ここにパウダー状の酸っぱさを合わせたところが巧み。
 緑は、スプルースのほげほげを入れたヨーグルト、的な説明だったかなぁ。

[AQ!]
 パースニップのカリカリ揚げに青森産和牛、酢のプードル、スプルース液、ヨーグルト。
 フィンランド人が見た日本和牛。…北欧はスウェーデン和牛(和牛血筋だがグラスフェッド)もいるんでややこしい(笑)。

玉葱 ベーコン H
 玉葱ひと口シュー…みたいなのにスナップエンドウ。
 ベーコン玉葱らしい人懐こい旨み。
コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10390467.jpg
ポリッジ マッシュルーム O
 おばあちゃん風古式粥、キノア(軽く発芽)、熟成牛ショリショリ、下にマッシュルームソース敷き。
 ポリッジは、北欧でいただくあのポリッジの味がする。アレってどう表現すればいいのかなあ、あの核の部分の味って共通してる。ウマい、はぐはぐ…。
 ポリッジと鰤は同シリーズの器、オマージュの新入荷部隊みたいだけど、とても有用。

[へべ]
 これは旨かった! キノアや、クロッカン成分の配合が巧み。
 北欧の人が「俺の郷愁のポリッジ風味だ」というと、なんか、こういう味のものが出てくる気がする…。それぞれに仕立ては違うし、大元の「あの味」っていうのは、食べたことがないんですが。
 ちょっとぽってりと厚みのある木の器、北欧調の料理との相性がばっちりでしたね。いい器。

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10393375.jpg
鰤 ホースラディッシュ O
 塩・砂糖・ディルの北欧式マリネながら、その加減が正確で的確!
 この発酵胡瓜汁と胡瓜・フェンネル・タピオカなどと食べる鰤っていうのが、とてもいい。発酵汁の、当たりのきつくない酸味がいい働きで。

[AQ!]
 鰤マリネ(塩・砂糖・ディル)、胡瓜・フェンネルのデとタピオカ、ホースラディッシュ・クリーム、発酵胡瓜汁、ナスタチウムなど香草サラダ。
 「北欧スタイル」の名刺のような一品。重層的だが統一が取れていて、こんなに旨く鰤が食えるのか!って。

鮑 白菜 H
 2ヶ月発酵白菜を使って。(北欧の発酵を迎え撃つぞ、と(笑))
 蓮根おやき:白菜、すっぽん(贅沢に入っている)。鮑とオータムポエム(花も)、木の芽。鮑・すっぽん・チキンのコンソメ。
 「荒井さんらしい」荒井さんの傑作か。コンソメを一滴舐めて首肯し、おやきにナイフを入れてその蓮根の香り高さ…掘り出すスッポンエンペラの見事さに惚れ…、、、と食べ進む道のめくるめく楽しさと旨さ。君臨する鮑。
 上喜元を料理温度と同じ温度帯に燗をして。

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10403819.jpg
[へべ]
 発酵の対抗馬はこちら。
 この、金色スープに茶色いお焼きを横たえたお椀(と言いたくなる…)に、荒井さんらしさが、ぎゅっと詰まってます!
 食べ進むにつれて、贅沢コンソメに徐々に発酵白菜が溶けこんで、えもいわれぬ「味変」モードが、また楽しくて…。

ポロ葱 ロイロム O
 コースのこの位置に、いい葱料理をいただきました~♪
 このブラウンバターのキャラメル香って「北欧あるある」であっちの人は大好物みたいなんだけど、あんまり入ってこない、ねぇ。
 加熱の詳細は忘れた(^^;) 黒焼きにしたのを、蒸らしてから、黒焦げ部を除く…みたいなことだっけ?

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10414053.jpg
[AQ!]
 ポワロは、黒焼きの中のヒト…みたいなことか、何重かの加熱を経て(聞いたけど忘れた(^^;))。結果、とてもいい甘みと香り。
 ロイ(白鱒)のロム(卵)、とても品の良い魚卵で「欲しいとこだけ、ある」感じ。素敵な組み合わせ。
 香草と海草(!)、これも働きがいい。紅藻のちょっとの、野菜と違ってぬめりある食感が効く。
 ブラウンバターのベシャメル、ブラウンバターな香りが豊かな北欧調。好みの問題なのか、ブラウンバターぷんぷん…って仕立て、日本だとほとんどお目にかからないよねえ。

干し海鼠 赤座海老 H
 出た~、すごいの来た~!
 赤座海老、海鼠の海老詰め、シューブラッセル・ファルシー、フォアグラ・エマンセ、サリコルニア、バルサミコソース。
 旨くて楽しくて素晴らしい。海鼠党の人間(笑)として快哉を叫びたい。いやあいいんじゃないですか、海鼠。
 扱いは中国料理で習ってきたそうだが、昨今は中国料理でも活躍機会が減ってるし(値段が取り難い高級乾貨だから)、活用してやろうぜ。この手のものの中では、地球に優しい方だし(笑)。
 海鼠、それ自体のうっすらした香り・味が存在するのが料理をドライブする。
 肉のゼラチン質を使うルセットなんかで、海鼠で置き換えても面白いの、色々あんじゃないかなあ♪

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10424550.jpg
仔鳩 墨烏賊 H
 荒井さんが「育ててる」組合せ2016版。
 シャドークイーンの薄焼、烏賊、レバーと墨のソース、ミートソース。
 レバー&墨のソースのコクが、明るく濃い。
コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10431310.jpg
コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10434717.jpg
蝦夷鹿 菊芋 O
 鹿ロティとトピナンブール・デクリネゾンの「森の情景」。
 トピナンブールの、ロティ、プードル、ピュレ、デに切ったソース、発酵汁。
 これ、感服した。「情景をイメージして」…という料理はたまさか出会うが、この皿ほど香りの主導で「オオオ!」と森を歩くバーチャルリアリティを感じさせるものは珍しい。そして美味しい、食欲を誘う。
 香りの感性の素晴らしさ。うーん、こーゆーのいただいちゃうと、「日本人の鹿ロティの皿」って、イメージが固定し過ぎ・硬直化してるの多いかもねー。

ヨーグルト 柑橘 O
 八朔・せとか、ヨーグルト・ホエーのソルベ。
「わーい、日本に来たから柑橘解禁だ~い」(モダンノルディックではローカルで「採れない」柑橘は不使用、が多い)
 って市場で喜んだけど、「えー、みんな甘~い(^^;)」ってちょっと残念な感じ(笑)もあったとか。その中で面白がったのが八朔だったよう。なんか、気持ちわかるわ(^^;)。
 ミルクのクランブル、胡麻。やられてみると面白いのが、柑橘+乳製品、に「+胡麻」だろう。

コラボ:オロマージュな一夜_e0254271_10443327.jpg
[へべ]
 そうそう、柑橘にゴマって、虚を突かれる新鮮さで、おいしかった!

[AQ!]
キャラメル 熟成南瓜 H
 荒井さんの方は「ボクの大好きなリオレ・シリーズ」。いいまとまり。
 熟成南瓜、和三盆、キャラメル、ひよこ豆を小豆のように炊いたもの。

 ***

「ボクの北欧観/ようこそ浅草へ」 対 「ヘルシンキ精神/これが日本か」
 面白かった!
 …し、えらくレベルの高いコラボだったなあ。
 フツーに「コース」と考えてみて、出来のよい仕上がり。
 コラボらしい、七変化の多彩さ・メリハリ起伏・考え方の交錯…などが刺激しつつ、一本芯が通っていてラクに楽しめる。
 まあ「コラボ慣れ」してる荒井さんとフランクな北欧気質とが機能してるのかな。
 荒井さんによると、オロ・チームは多々ある複雑な工程を「淡々と」こなしていく感じ、だそうな。
 Jariシェフとちょっとだけ話したけど、にこやかで静か。
 そういえば「シェ・ドミニク」出身と聞いたので、ハンス・ヴァリマキがどうしてるか聞いたんだけど、「テレビやケータリングで見るけど、どうなんだろう?」…。

 本日、ミシュラン北欧版発表日。
 「オロ」は1つ星をキープ。フィンランドは4軒で4星…のうちの1軒だ。
 Jariと荒井さんが並んでると、「チミたち料理は2つはあるべ♪」とか言っちゃうけど(笑)。
 しかしまあ、ミシュランの日だからミシュランスターにことよせて言うと、客にとってはこーゆー「3つ星より美味い1つ星」みたいな食事の楽しさ…ってのは、ある。
 「より」ってのは修辞的アヤではあるけど、「3つ星にはない」…と言いますかね。
 見渡すに、やっぱアッパーな星所有店ってものは、どうしても料理がスタティックになっていく傾向はある。安定して最高級で慣例的で慇懃な。
 それに対して、ダイナミックでヴィヴィッドで元気に自分をぶつけて行ける上り坂の1つ星の魅力、みたいなんは、ある。

 ま、ミシュランの日なので星方向から呟いてみました。
 実のとこ自分的にはまあ星の数とかどーでもいいし、両店の星はずんずん増えるように祈っておりますけど♪

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by aqishii | 2016-02-27 10:45 | 年代記(総合) | Comments(0)


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