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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2016年 06月 23日

これ以上は溢れまセーヌように (7)

 先週アタマはパリでした。
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[AQ!]
 弾丸ツアーゆえ、もう帰国日である(^^;)。
 ただ夜遅くの便なので昼食は何でもOK。
 どこに聞いてみようかと迷ったが、まずは長年の懸案でもあるダヴィド・トゥタン。
 一ヶ月弱前の予約で、席があるか微妙かと思ったが、スルっと取れた。

 朝。
 エールフランスからメール。
 23時半の便が、ストライキのため2時間半遅れるという。
 フランスだ Orz...
 これならディネでも大丈夫だったな(薄笑)

 …でもデモの一日は始まったばかり…、とは、まだ気付いていない(^^;)。

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 店はアンヴァリッドにある。
 メトロで出かける。
 乗換えのモンパルナス駅が人声で賑やかだ。
 見ると工事服?…のメトロ職員らしき?がホームから大勢歩いてくる。なに?…夜勤明け?

 広々としたアンヴァリド。
 着いた瞬間は雨。
 やがてあがると、ボールをもった子供たちが出てくる。鳥が地面の食い物をつつく。のんびりした緑地の情景。
 そこに大型バスが数台、到着する。
 ゾロゾロと降りてくるのが、また工事服?っぽい揃いの衣装。
 ん?、「cgt」?
 おおっとそうか、出ました、「Confédération Générale du Travail」(フランス労働総同盟)!
 こりゃ、労働法改正がらみの抗議デモだわ。
 早速、交差点を一時封鎖などして気勢をあげてる。さすがだ(^^;)。

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 InvalidesからRue Saint-Dominiqueを西に入ると、すぐ、けっこー繁華なエリア。
 Boulevard de la Tour-Maubourgを渡ったところにHenri Le Rouxのショップがあった。帰りに寄ろう。
 Le RouxからすぐRue Surcouf、ものの20mほど行ったとこに「David Toutain」が見える。

 [ Reine des Pres ]
 +Champagne
 *Ail des ours, pois
 *Betterave, cassis, mure, foie gras
 *Feuille, creme
 *Onsen-Tamago
 +Sancerre Nuance / Vincent Pinard
 *Cabillaud, combava, coque
 *Calmar, noisette, yuba, asperge blanche
 *Merlan, petits pois
 +14 Saint-Romain / Alain Gras
 *Anguille, sésame noires, pommes
 +11 Savigny-les-Beaune Les Bourgeois / Simon Bize
 *Selle d'agneau
 *Surprise
 *Blanche
 *Cerise
 +14 Moscato d'Asti / G.D.Vajra
 *Mignardises

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 店内は若い世代の作りだが、居心地は落ち着き方向で、ラクだ。
 コースはおまかせの大/小でそれぞれにメテヴァンがある。大のメテヴァンを願う。

[へべ]
 明るい woody クロスなし

Ail des ours, pois
 緑の豆の軽いチップス、ハーブ

Betterave, cassis, mure, foie gras
 カシスと桑の極薄べトラーブロール、フォアグラパルフェ巻

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Feuille, creme
 赤薄木の葉でクレームを

Onsen-Tamago
 「温泉卵とサケ」
 とろとろ玉子、トウモロコシ粒々、熱々燗酒

[AQ!]
 若いメートルが嬉しそうに「オンセンタマゴ!」と持ってくる。
 ちょいカレー風味で、出来は此処んちの中では若干ビミョー。

 さて、これより本編。

Cabillaud, combava, coque
 キャビヨーにコンババ・コンソメ(と表現してたかな?)をかけて。
 見た目・仕様は、「まぁまぁ、ある」タイプの料理だが、キャビヨーというチョイスと、ちょっとビックリするくらい淡い味つけに軽く驚く。日本ですら、ここまで薄いのは記憶にないほど。
 食べてみて、この淡・薄は、強力に肯定できる。美味しい。
 コックのアクサンも活きる。

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[へべ]
 キャビヨー、コック(貝)
 オニオン、アマンド、緑ハーブ、コンババ・クリアスープ、(胡瓜・セロリ・ディル)
 コンババ油を浮かべた水のような汁を注いだキャビヨー、ぎりぎりの火入れでこの魚にめずらしいなめらかな食感を引き出した、静かな味わいの一皿。

Calmar, noisette, yuba, asperge blanche
 白アスパラ、いか細切り、湯葉、魚卵、ノワゼット、ディル、クレーム泡ソース、緑ユイル
 おいしくバランス良い。
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[AQ!]
 「ユバは知ってるヨネ?」と嬉しそうにw。その湯葉はひっそりと入ってるくらい。
 これも登場人物たちの香りの響き合いが楽しい一皿。かなり細かいところの神経、感性が特徴的な店だなあ。
 ところで、どちらかと言うと後で気がついたのだが、前のキャビヨーの皿と「ツンモリした白に緑・オレンジの色彩、ヒタヒタのリキッド、ディル」…と「よく似てる」(^^;)。
 食べてまったく感じないので「ダブり感的問題」は無いのだが、…というか狙ってやってるとしたら、えらくマニアックやなあ(笑)。

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Merlan, petits pois
 絶品!
 素晴らしい火入れ! …ってさあ、自分、最近のネットのグルメ系口コミとかがなんだか「火入れ」という言葉を覚えちまってそれこそ何とかの一つ覚えみたいに「ヒイレヒイレ!」って連発するのにかなり食傷気味(^^;)、自分の日記にはなるべく「火入れ」という言葉を避けるようになってるんだけど、まあこのひと皿にくらいは思い切り使うぞ! 素晴らしい火入れ!
 低温系基調なんだが、よく火の入った香ばしさを併せ持つ。まあアセゾネもいい訳だなあ。

[へべ]
 メルラン、プティポワ、豆・蔓・ピュレソース、ソースコクリコ
 塩と火入ればっちり。この季節のプティポワとのとり合わせもgood、淡いピンクのコクリコソースはトマトかな?…やさしい酸とコク。

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Anguille, sésame noires, pommes
 うなぎフュメ、黒ごまソース、りんご / シードル

[AQ!]
 一転して黒の世界(笑)。
 小鉢での提供で、何となく「お口直し」みたいなタイミングなのがオモロイ。ここではシードルが一杯合わされて、そのサッパリ感もお口直し調だ。
 ありそうであんまり見ないかな?…な、鰻+黒胡麻+林檎は、悪くない♪

Selle d'agneau
 プラは仔羊、これも軽快に、明るいひと皿。
 羊自体は、濃くシッカリと…してる訳ではないのだが、相応に濃くシッカリ感じられるような味に決まっていて、巧みかな。

[へべ]
 セルダニョー+筋レイヤーおいしい部位、クルジェット、シトロンクレーム、ディル、キノアのクロカン

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Surprise
 シュルプリーズ:白いアヴァンデセール
 グラスドココ&シューフルールのクレーム

[AQ!]
 白…はテーマカラーなのか?(^^;)…白い小碗は、
「シュルプリーズ! これが何だか当ててミソヅケ?」
 と現れる。
「シュ、シュー?」
「ちっちっち、シューフルールよ~ん♪」

Blanche
 白い筒、白グラス、茶ビスキュイ

Cerise
 スリーズ:クレーム・グラス・泡、ベルベンヌ

Mignardises
 ベニエ、マカロン、トリュフ

 ***

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 帰りに工事中の隣接物件でシェフDTにばったり遭遇、記念撮影。

 「David Toutain」、大駒ではないが予想以上に繊細な料理。
 火入れや味のバランスがぴたりと決まっている感じの、デリケートな味わい。軽快で精緻。
 パリでフランス人シェフでこういう料理もあるんだなあと。
 店のしつらえ、サービスまで含めて一貫性もあり。
 「フランス人のモダン下手」偏見を払拭してくれる一軒。

[AQ!]
 香り味わいの、見た目以上に繊細な料理で、とくに魚介に対してのナッツや香味野菜のすり合せ方の感性がやや独特な妖しさでカッコいい。
 食べて、好きな料理♪

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 一方、ちょい余計な感想を漏らせば、多少小ぶりな印象はある。
 …っていうかつまり、旅行者の感想となるが、「ダヴィド・トゥタン」と言えばもうどうしても、「世界ランキングでどこまで行くのよ?」とか「パリの次代を担うフランス人は彼」とか「本年版ミシュランの2つ星はなりませんでしたねえ」とか、そういう期待は担わされるポジではある訳だ。
 まあ我々、実際にいただいている時にはあんまし関係ない話だけど、いやでもそういうことが頭をよぎることもある。
 そういうポジションに照らし合わせてみた時、また我々としても先々の再訪動機について考えてみた時、多少、小ぶりで、ときに平板かなあ…という印象はある。
 味わいがトレレジェなのはたいへん結構だが、存在感も多少レジェかなあ。

 見た目そっくりなキャビヨーの皿とイカの皿、本編は4皿なのにキャビヨーとメルランというキャスティング(ともに白っぽい仕上げだし)、キャビヨー・イカ・羊の皿にふりまかれるディル(というある意味のカブリ)…などの諸点は、実は食べていてはまったく気にならずむしろマニアックな面白さがあった。
 けれど、まあインスペクター的な食べ方をする客には引っ掛かるところがあるかも知れない。
 まあ我々も、もしランキング対策で雇われたアドバイザーであったら、「得策ではない」とは言うとこだろう(笑)。

 まあしかし上の10行ほどは、余計な話♪
 楽しいデジュネでした♪

el valle

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by aqishii | 2016-06-23 16:16 | 美味しい日々 | Comments(0)


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