2013年 04月 10日
また最近、「低温調理」って言葉が流行る…というか、妙に色がついてきて感じる。 …という、クロニクル的書きとめ。どうしても、「年代記」をリアルタイムで書きとめるのはめんどくさくなる(^^;)ものだが、10年後に振り返る目途として(笑)。 まあここのところの低温調理“ブーム”…というのは、この15年間くらい…ということになろうか。 バハテンプラチュラなモダンスパニッシュをパリの連中が真似したかなんか…いやよく知らん…、正史的な経緯はちゃんとした資料にお願いするとして、レストラン客の21世紀は低温調理とともに明け…も、した(笑)。 この低温調理を巡る議論、は、現場でも客席でも5年前くらい…まで…かなあ、は盛んであったものだ。 …と過去形となるくらい、ある種の共存定着(笑)の相に入ったかと思ってたものだが、ここにきて、日本語「低温調理」を耳にする機会が多い。 一つには、以前よりフツーの人(…たって、まったくのパンピー…ではないにせよ)が使うようになったこと。 そして、どうも最近は「低温調理」が、一種の「レッテル」のように、あまり芳しくない意味合いとして使われることが少なくない、こと。 「あそこの店は低温調理だから、駄目だ」 …なんて随分とイージーな表現がまかり通る。 店の方も、以前はそんな加熱のことでフンチャラ言わなかったのに、 「こちらは低温調理ですが、ですが、色々と考えてアレやらコレやらしております」 …みたいな、何とも低温な説明(笑)…じゃないけど温度感の不思議なコメントをつけてきたりする(笑)。 そういうのが続いてちょっと思い出したのが、「ビオワイン」という日本語が出来てしばらくの間の状況。 あの頃、 「こちら実はビオワインなんですが、臭くないんですよ」 とか 「ビオだけどコレに限っては美味しいんで、薦められます」 …なんて、ヌルく曖昧な説明が飛び交っていたものだ…。(^^;) アレに、似てる(笑)。
「言葉」…が歩くと、反応も増える。 専門家については、専門料理2013.3を見てみよう。 「いわゆる低温調理に関してどう思いますか? 素材本来の持ち味を引き出すおいしさや、均一に火が入るきれいな焼き色などの利点はいくつかあるけれども、私自身はああいった“ぬるい料理”は量を食べることができない。飽きちゃうんですよね」(小峰敏宏氏) 「流行の低温調理は、若いワインを飲む時に香りを開かせるために行なうキャラファージュのイメージ。一方、何年もねかせたワインにはその必要はなく、そのままグラスに注いでも充分においしい」(杉本敬三氏) 「タンパク質の凝固温度ギリギリに芯温を設定して、なんていう方法も肉を焼く際の選択肢かもしれないけど、それだと皿に盛った時に臨場感がない料理になるのでは、という疑問が僕の中にある」(谷昇氏) こちら共通するのは、“低温調理どうこうと言われ飽きたよ”って感じと、“流行だからって狙いもなく飛びつくんじゃねーぞ”って警鐘、…というところか。 2013.4「エスコフィエを読む」には、 「ポシェはいわゆる低温調理です。 ~ ただ、現代には様々な便利な調理機器があります。 ~ こうした機器は大いに活用すべきです」(脇坂尚氏) というのもある。「いわゆる」…にニュアンスがこもってますね(笑)。(及び、局所的テクニカルタームであることの確認) …とまあ、眺め渡すと、これが「日本に入ってきた“低温調理”」の現在の空気感ってとこですかねー。
この間、「ブルガズアダ」に行ったら、「55度24時間仔羊のバターソテ ブルーベリー・ソース」というのが出た。仕込み部分は「低温調理」、これは「現代のツールでやってます(笑)」。 メフメット・シェフの語るに、「低温調理」はオスマン宮廷の古典料理にもあり、この料理もそれが源流である。 「当時の低温調理」はどうやっていたか?…というと、肉を胃・腸などの内臓に包み灰に埋める…という手法であったらしい。 おお、カッコイイなあ!(笑) 熾火料理など、原点回帰調理も流行る昨今、「灰埋低温料理レストラン」…など、どうでしょう?(笑) AQ! / くまのおんがく 【CD】 【送料無料】
by aqishii
| 2013-04-10 20:11
| 年代記(日本)
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