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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2014年 04月 21日

春と比良

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 「春と修羅」にかけてみますたヽ(^~^;)ノ。

 週末。京都で昼食。

 *エンドウのスープ
 *白アスパラのサラダ
 *チキンとメンチカツ、ポテサラ・ブロッコリ
 *プリン

 20席もない、カウンター中心の小体な洋食店。
 厨房が近いカウンタの真ん中で、ワクワク♪
 独特の元気なベテラン御主人(関西系ブログなんかみると“名物”とつくような)。

 京都らしい、ハンナリとした品良い洋食。
 とくにチキン、ソテと言ったらいいか…かなり蒸し焼き寄りの調理で、フワっフワと表現したいくらい柔らかい仕上がり。一口して、今は無き「グリルたから船 」のチキンソテを思い出したので、似てるかもしれない (朧な記憶なので比較は無理だが(笑))。
 自分ら的に特筆モノはポテサラで、芋の甘みと香りが立つ滑らかな逸品。

 ***
春と比良_e0254271_12391026.jpg
 さて、比良の山へ。
 今回は京都バス。土日しか走らない路線(^^;)。
 このバスは出町柳から。
 バス待ちは、カフェでもあればいいんだがな。見回すと、前は気付かなかったが、すぐの所に一軒あった。
 「Jazz & Cafe」なんて書いてある。「Lush Life」で珈琲。
 古くて小さい。
 ブックシェルフに「暮らしの手帖」があるので手にとってみると、昭和40年代半ばのモノ。“えー、間違いなく当時読んでた号じゃ~ん”。こんな本だったかなあ(「神様」の空豆おじさんの口調で)。
 いい音が流れてる。んー。奥を見ると、マランツ・マッキントッシュ。アルテックかなあ。ヽ(^~^;)ノ
 ひゃああ。
 …後でサイトを拝見したら、アブドゥライブラヒム(ダラーブランド、ね)を京都に呼んだりしてる、老舗ジャズ喫茶なのであった。
 京都みたいにぎゅっと詰まってる町だと、テキトーに入っても、こんな恐ろしい(笑)店だったりする。店内では、おそろしくノンビリした近所の話だけが飛び交っているが(笑)。
春と比良_e0254271_12393849.jpg

 ***

 今年は、昨年の比良行より1週間遅いが、この冬は寒かった。…その季節感塩梅はわからないのだが、昨年より山桜が美しく映えている気がする。比良山荘のお庭の枝垂桜は、昨年より、終わり寄り…か。
 そして、狙いすまして来たとは言えるのだが、花山椒は真っ盛り!

 *こしあぶら天麩羅
 *本もろこ南蛮漬、鯉の子、子持ち鮎熟れ鮨、イサザ佃煮風、野蒜味噌、蕗の薹味噌、葉山葵、茗荷寿司
 *お造り:鰻焼霜、鹿・辛みおろし、鯉、豆花、蕨、うるい、ネマガリダケ、山葵葉、コゴミ、イタドリ芽、山ふき
 *小鮎塩焼 蓼酢
 *花山椒・月鍋:クレソン、山独活、土筆、筍、木の芽
 *稚鮎の酢炊き、湯葉、蕨
 *筍ごはん 木の芽
 *鯉こく・蕗の薹の吸い口 香の物
 *桜もちアイス
 +10 VR / Dominique Mugneret
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 *たらの芽の白和え
 *玉子焼、鯉甘露焼、花山椒漬
 *赤蒟蒻、麩、茄子、椎茸、菜花
 *蕗の薹味噌
 *蕗、梅干、稚鮎
 *山菜の椀
 *粥
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 比良の春が感じたくて、また、来てしまう。

 繰り返しになるが、比良山荘のキーワード。

 水。
 この宿の不思議だが、温泉でもない只の沸かし湯が、びっくりするほど気持ちいい。清冽でいながら身体に染み透っていくような…。
 つい、そんなくだらないことも御主人に漏らしてしまう…と、
「よく言われるんです」
 とのこと。
 も一つ、こちらのゴハン・粥が、ほんとに好きだ。日本式の米では、最も好みが合うかも。これはモロに水の味だと思う。
「水が合う」という言葉がございますな。あれは、ほんとに、水が合うんでしょうな(^^;)。
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 ダイナミズム。
 何度いただいても、こちらの料理は、ダイナミックだ。スケールが大きくて、躍動していて、活性がある。(注意してみれば、とても繊細でもあるのだが)
 鮎の塩焼、なんて、昔は「料理が違う」なんて思わなかったろうけど、実の所は、料理店一軒ごとに表情が違う。
 力感があってダイナミックで、かつ、シリアス。が、比良調。
 でも料理っていうものは、そういう違いがどこから来るものなのか、、、わかるようでわからんものだなあ。
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 お漬物が、沢庵など、エポワースじゃ。…って前にも書いたけど。
 実は、初夏に仕込んで一年供するタイプの漬物だと、この春の時期が最も発酵が進んでいる…モノもあるということらしい。

 コシアブラが鮮烈。コシアブラはこの辺じゃ、生えてるのに昔は使わなかったらしいが。
 今までいただいたコシアブラは何だったの?…というくらい、香りと味がよくわかった。やはり、鮮度のあるものを・ある程度しっかりした大きさで・ある程度しっかりした量を、いただいた方がよろしいようだ。

 イサザ、鰻焼霜…も心に残る。

 今年は、熊が多めで、鍋にウェイトがのってた。
 主役のローテは、
「熊・花山椒・山独活/熊・筍・木の芽/熊・クレソン/熊・土筆/みなさん御一緒に」
 の順だったかな、豪華やね!
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[へべ]
 やっぱり比良山荘は、すごい。なんというか、こんこんと湧き出るような、「命の洗濯」感があるんですよね。温泉でもなんでもないお湯の、湯あたりのやわらかさにうっとりとして、湯上がりに飲む清水が、ビールよりおいしい。夜はばたんきゅうと、死んだように寝てしまいます。いったいこれは、なんなのでしょうか。

 春夏秋の土日しか走らない路線の、ほとんど乗客もいないバスに乗ってずんずん山に入っていくと、新芽のけぶるような山肌に、山桜が点々と咲いて、そこだけぱぁっと明るい。山の桜は満開で、望外の花見まで楽しむことができました。

 今年の春の、一皿目は、コシアブラの天麩羅。コシアブラって、こんな香り、こんな味で、こんなにおいしかったのか! と驚く。くっきりと鮮やかに、心に焼きつく存在感。

 焼いた本もろこの、あの味が香りがそこにある南蛮漬。思い浮かべただけで口中うるおう子持ち鮎熟れ鮨、「いさざ」という響きまで愛らしいイサザ、日頃あまり食べない佃煮も、ここでいただくと、どうしてこんなに違うのか。そして茗荷寿司の驚きの美味!

 鰻焼霜には、山葵を山盛りにして。稚鮎というか小鮎というか、塩焼の軽やかな、でも鮎の旨さが全部そこにあるような。

 花山椒の月鍋、今年の四幕仕立ての展開がまた、素晴らしかった!

 ***

 すごく寝た。来るたびに、ますますたくさん寝てるような気がする。
 水が合うのだ(^^;)。

 帰りがけ、見送ってくれる女将さんが、「あ、コレコレ」と店前の植え込みを指す。
 ん、そういえば、整った植木の一部がもの寂しい。
「この間、鹿に食べられてしまいまして…。こんな尖った葉っぱまで…」

 (^^;)

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by aqishii | 2014-04-21 23:36 | 美味しい日々 | Comments(0)


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