2015年 06月 22日
「バンケット」 *アンチョビバターを挟んだチーズのサブレ *毛蟹 *千歳産ビーツ コンテ サマートリュフ *釧路産イワシのマリネ 生ハム *フランス産フォアグラのテリーヌ、フュメ 長沼産インゲン *日高産時しらず 十勝産マッシュルーム グリーンアスパラ *静内産30日熟成短角牛 *千歳産いちご +14 ラロ・フリッツァンテ アロマティコ / 農楽蔵 +13 クリサワ・ブラン +10 ケルナー レイト・ハーヴェスト / 千歳ワイナリー +14 北ワイン ピノ・ノワール ロゼ / 千歳ワイナリー +11 ヨイチ・ノボリ キュムラ・ピノ・ノワール / タカヒコ・ソガ [AQ!] 東京の湿度を束の間忘れる爽やかな北海道…は、人の爽やかさがまたゴチソウである。 まずは、悪戯好きな子熊のヌイグルミがエプロンをかけた…ようなシェフ(笑)、若杉さんの「バンケット」へ。 [へべ] 札幌第一夜。 道産素材と道産ワイン満載で、コーヘーさんの北海道祭り開幕! 90年代フランス料理の思い出走馬灯が回る! 北海道ならではの良質な素材と、ヴィヴァロワの「あの時代」のフランス料理がやっぱり好き…というコーヘーさんの感性と料理で、「世界でここだけ」の楽しさが詰まった夜でした。 [AQ!] 「佳き仏料理」x「北海道」という、王道というか本筋の道を辿りながら「此処でしか食べられない」感を強く抱かせた。 料理が北海道なら、今日はペアリングも「北海道ワイン」で。 道産ワイン、酒だけで1本飲ませる話ならまだ追求の余地も多かろうが、料理とのグラス・ペアリングで合わせこむには申し分ないレベルに来ているのを実感させる。 最初のナイアガラ・ケルナーの泡は、面白いアペリティフのカクテル…っぽくイケる。アンショワにもOK。(農楽蔵さんはラベルが可愛い) 毛蟹 毛蟹は活きてましたよ~、な(笑)。昔のアレネドメール冷製っぽい前菜@パリ…だとクレームたっぷりでまったりさせそうなとこを、海水濃度ジュレと仄かな柑橘香で引っ張りスリムな中から毛蟹の甘みを引き立てる。…と書けばまったく別の料理なのだが、なぜか昔のフランスの卓上情景を思い出す(笑)。ジュレに使ったお水は「本日のお水」…ニセコ汲みのもの。 [へべ] 毛ガニ。ニセコのうまい水のライム塩水ジュレでさっぱりと食べる毛ガニ。往年のクレームたっぷりのアレの思い出を呼びさましつつ、もっとリアルに蟹の旨さを伝えてくれる。カニが新鮮でないと決して成立しない一皿。 千歳産ビーツ コンテ サマートリュフ ビーツのタルタル。ナルトのような紅白柄のカブに、コンテに卵黄をからめて。 肉より旨い!とか、これならベジタリアンでもいい、とか言ってしまいそうな、ピュアで深い味わい! [AQ!] ビーツ コンテ サマートリュフ、そしてチオギア・林檎・玉子。 ビーツはタルタル仕立て、玉子の黄身も乗っている。これはA.Pインスパイア…というかA.Pの料理の話を聞いた妄想の発展…らしい(笑)。 面白さの中にビーツの魅力がいっぱい、全体のまとまりも傑出している。「ポンと乗せた玉子」の働きの良さは、こないだのティルプスもやってたなあ…「まんま玉子ソース」の“ルネッサンス”?(笑) チオギアの鳴門マークはいつも皿を陽気に見せる、な(笑)。 釧路産イワシのマリネ 生ハム 鰯は生ハムを巻きつけて。マリネ具合は「〆鯖のイメージ」とか。 青魚マリネ+生ハムはたまに見る取り合せだが、こんなに一体化(味も感触も)してるのは初めてだ。身に生ハムを巻いた魚が泳いでるみたいだ。下にはソースがわりというか、アラグレックなエチュベド・レギュムを敷いて(これがまたイイ)。 ハム巻鰯の表面には酢漬人参の小円盤抜きを3枚並べる。こういう「新旧の交錯する」感覚のデザイン、ってのも楽しい。旧ワールドを知らない若い人は、こういう置き方しないからにー(笑)。 [へべ] 各皿になんとなく感じたのは、引き算の段階に来ているというか、旨さを上げるためにあれこれ加えるフェーズではもはやなく、必然の最小構成になることで、印象がくっきりとして、コーヘーさんの皿、ここだけの料理になっているなあということ。 生ハムを着たイワシのマリネ、小粋なニンジンの三つボタン(三つ星?)付き。この夜、いちばん驚いた料理。 酸と旨みのバランスの絶妙なアラグレックの上に、ぴたりと(味の)一体化した生ハムイワシ、という仕立て。 道産ワインとも良かったけれど、ここに限ってはシェリーのフィノエンラマとかも合いそう! フランス産フォアグラのテリーヌ、フュメ 長沼産インゲン フォアグラのフュメは、オリジナルはゲラールなんだけど、「暖炉でやると、まわりが茶色くなっちゃうんですよね…そこは今風に」。 インゲンのサラダにフォアグラテリーヌの、あのイメージはありつつ、サラダにはスナップエンドウとグレープフルーツのさわやかさも添えて。そして忘れちゃいけないこんがりブリオッシュ! なんでこんなに合うんだろう、というくらいの名コンビ。 [AQ!] フォアグラの薫香が絶妙だ。これは原型で言うとゲラールが「暖炉に吊るして」いたもの。当時のそのやり方は、素晴らしいながら色が黄色くなり過ぎで苦味も付与してしまい…といった辺りを現代技術でリファインした。 こんな旨いフォアグラには青豆とブリオッシュでしょ!?…というのは仏料理という「賢者」の知恵ですな(笑)。 フォアグラにレイト・ハーヴェストのケルナーはぴったり。「ここでイケム!」…より合うとオモタ(笑)。ソーテルヌだと「合う」けど「トゥマッチ」感もありがちよねー。 日高産時しらず 十勝産マッシュルーム グリーンアスパラ 十勝のマッシュルームはやはり印象強い。んーとなんだっけこの茸、醤油屋さんがうまみ研究で作ってみたところ恐ろしくイイものが出来てしまい、今や「本業かよ!?(笑)」状態…とか。 トキは、赤ワイン+味噌…に漬けて「西京」感が出る前(笑)くらいの塩梅で、焼き。うまい。緑アスパラが、よくもまあ…というくらいのデカさ…ながら筋ばるところもないのは生産者・料理人の誉れだろうか。 [へべ] 時鮭のお供には、鮭とどっちが?くらい立派な緑アスパラが、どどーんと。こんなに太いのに、うんとみずみずしくて、筋ばったところがひとつもない! そして中心には味の要、十勝マッシュルームのクーリ。これが本当にものごっつ旨い。なんでも聞けば、十勝のしょうゆ屋さんがウマミ研究で始めたところがこれが当たってしまって…みたいな話だったか。 静内産30日熟成短角牛 ラ・サンテへはいつ? 仔羊と白アスパラはそちらで召し上がりますもんね…と(?)、プラは牛の熟成肉で。ガルニの空芯菜がいい具合。セージの花good! [AQ!] 熟成短角牛にちょっと見ない花…これはセージの花。へえ。「花」は見た目の美しさに「うっすらと香りや味」をまとわせて…という具合の種類が多いのだが、このセージ花はバッキリとセージの香りを破裂させるのが面白い。へえ。 30日熟成はガストロの主菜に丁度イイ感じで、もっと引っ張ってチーズ香やナッツ香が強まる余地もあろうけど、フランス料理コースには「このくらい」でしょう。 空芯菜はC月斎さん(今度行かなきゃ)に話聞いたりし、その成果に工夫もあり、「中国野菜を仏料理に入れてみました~」ってだけでなく、合わせ込まれている。 モワル添え。モワルが…ウマイものだけど…ウマイ! 質の高さと扱いの良さが迫る。赤身肉と対角線殺法(笑)。 千歳産いちご 苺は千歳から今日持ってこられて「一度も冷蔵庫に入れてない」モノ。その感覚がテーマだった、という。 食べた時に「In de Wulfの近所のトレトレたままの苺みたいだね」と話してたのだが、今日の発想がそのまま「In de Wulf話」だそうで、食べ物イメージの共鳴性はオソロシイ(笑)。 [へべ] いちごのデセールの、いちごがおいしい!!と盛り上がっていると、「いたずらっ子の子グマがエプロンしてシェフになったような」若杉シェフがやって来て、 「ね、ね、いちご、おいしくないですか? それ、今朝の朝採りで、そのまま冷蔵庫にひとつも入れてないんですよ」 と、うれしそうに語りまくる。 おもろいシェフだ。…いや、これがしかしIn de Wulfの近所のあのイチゴを彷彿させるギュッとした味のあるイチゴだった。やはりそういうところで違うのね…。 [AQ!] 全体的に、資質豊かな/技量豊かな/経験豊かな/度量の大きい/愛嬌のある…コーヘーさんのモロモロが更に、歯車で言うと「噛み合って」、美味しく楽しく踊ってるようでした。 なんとなく今日も「ペローとロブション」みたいな話は沢山したなあ。みんな好きなペローさん。ロブションは偉い、精密で正確なシステム、そして…冷たい。(尊敬してるけど違うかナア…(^^;)) こーへーさん、最近は「日本のグランシェフたちの古いレシピ」なんかもよく読んでるそうな。(「こ~んなんあるんですよ~、ぜんぜん新しい(笑)」) フロアに関する基本スタンスは、「いーから元気にやってこい(笑)」で、そのココロは「細け~ことはいいんだよ」&「共感ポイントを作ってこい」みたいなこと。店作りから一貫している。俺ら的には好きなパターン。 [へべ] そして、さらに、ローソクの灯ったいちごのタルトが! 今年も札幌でバースデーを祝われてしまいました(うれしい)。 タルトは翌日、マッシモのお食後にG君と3人でおいしくいただきました♪
AQ! / el valle 【CD】 【送料無料】
by aqishii
| 2015-06-22 23:59
| 美味しい日々
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石井AQのBlog、1959年式。本業とは別の、飲食関係クロニクルを中心に語るブログです。ほとんど、自分用備忘録のようなもの(^^;)。内容本体は、石井AQサイト aq.webtech.co.jp をどうぞ。 by aqishii カレンダー
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