2016年 04月 05日
3月最終週末は札幌におでかけ。 -------------------------------------- [ idea : art of gastronomique ] *土 芽吹き 抹茶/菜の花 *蝦夷アワビ 水/純粋性 *数の子 カズノコ・プランタニエール:数の子の春仕立て *牡蠣 厚岸の海… *ボタン海老 異なる表情 *野菜 調和/発見/創造 *森 生態系自然観 *蝦夷バフンウニ ジャポニズム *雪解け 春を待ちわびて… +葡萄ビール天使の雫 +12 Chardonnay / Yamazaki [AQ!] 快晴の札幌。眩しい。 最終日だけどビッグアトラクションが控えている♪ 円山公園駅からバスで荒井山。 [Sa.Qua.Na x MiYa-Vie]フェアありき…で決まった札幌だけど、もう一つ是非とも果たしたいミッション(笑)が、ル・ミュゼ訪問であった。 スケジュールのあちこちをトントン調整してると見えてきたのが、最後の日、最終近くの飛行機に乗らなければいけないけどそれ以外は一日空いてる・ここにミュゼをお願いできたら都合が良い…ということ。 ものは相談…してみたらば快諾いただいての、このお昼である。 正確にはル・ミュゼの「イデア」。こちらは2スタイル店舗同居みたいな形式となっており、「イデア」は物理的にはル・ミュゼの2階特別室で、貸切シェフズキッチンのようなスタイルとなる。詳しくはル・ミュゼのサイトをどうぞ。 その[Sa.Qua.Na x MiYa-Vie]の日記に、 「だいたいモダンガストロの最前線にあるものはすんごい意思の力が、意地のようなものが皿の中に渦巻いているものだが、この2人の料理はもっと風のようである」 と書いたが、今日の石井シェフは、モダン最前線の、意思の人である。と思う。 シェフの意志と感性が一つの表現として、アートとして結晶する。 人も料理も、表面はクールだが、薄皮一枚下はパッショナート…きわめて熱い。と感じる。 また、 ホントの意味の日記メモ的には、書き出しは「やっぱりオイシイね石井さん♪」かもしれない(シェフは特にそんなこと言われたくもないかもしんないけど(笑))。 それはなんだ、んーやっぱ、ル・ミュゼ/イデアのアイディアやプレゼンの斬新さ・アート性は発信され巷間知るところである…という知識はどうしてもあって、むしろ実際に食べたホンネはいつも「わあ美味しくて」の方にビックリする…所もある。 「モダンアート系のガストロで最も旨い方だよねえ」という卓上会話になる(^^;)。 ガストロたるもの、華麗なプレゼンを売りとしていようとも「きちんとした食材~きちんとした調理~きちんとした美味しさ」に裏打ちされてなければ腰砕け、みんな「ちゃんとやってます」とは言うんだけど、まあそうは言っても実際には“色々”なんだわなー。 こちらの料理はその辺り、実にバランス良く構築されている。 facebookで見てると、新作料理のエッジの立った映像も楽しみだが、茸取りの話も同じように楽しみだ♪ (なんて言ってたら、「茸採りネットワーク」のこぼれ話もポツポツ伺えたw) ル・ミュゼ2階の中庭には陽光が踊り、キッチンステージに颯爽とシェフが立って、はじまりはじまり♪ アペリティフは小樽でナイアガラ葡萄から作ってるビール。 ワインはオススメに従い、山崎のシャルドネ。 あ、あと水は、京極のものだが「イデア」ブランドだよん♪ 土 蕗の薹は今朝シェフが採ってきたもの。土には根菜屑も使われている。 蕗の薹の横に、雪割り菜花のお茶(風流だぜい)。雪割りは始まったばかり、だそう。 そのお茶の器は、焼いたばかりの自作。陶芸はまだ初心とのことだが、 実に石井シェフらしいではないか♪ 蝦夷アワビ まずは得意の「凍りついた水面」の水貝。液窒で急速に凍らせた水面を割っていただく。「皮は食べないで」のライムがよく効いてる。 そして蒸し鮑。丸抜き昆布が黒い草間彌生のようだ(笑)。「飛び散りますから」とナップで防御してダシ汁かけ。この鮑はうんまい♪ 数の子 まさに意欲作!…はカズノコが主テーマのひと皿。 シェフも、数の子は好きで自家製だけどコースに出す仕立ては、ほぼ初めてとか。 淡雪をまとった数の子は、サイフォンで沸かされた鮭節のダシで春を迎える。エストラゴンやディル・レモン泡との相性が良い。鰊本体も数切れ。 いやいや実に立派にガストロの料理になって、新たな魅力を撒いている。魚卵好きの北欧人(こないだのフィンランドのオロも白鱒卵使ってたなあ)なんか喜びそうだ。 しかしこのヴォリュームでこの食感の魚卵使う、って、数の子以外あまり見ないよな~。 牡蠣 思いっきりシンフォニックな皿。 まずは厚岸カキえもん(牡蠣)を真ん中に置き、「厚岸の思ひ出」を砂浜にして取り巻いたパート。カキえもん、繊細で大好き。 隣の殻被りが対比役の仙鳳趾産。 鹿・牡蠣タルタル、海のカナッペ、広島産レモン(生産者さんの持込からの付合い)、それから「竹鶴の泡」。“牡蠣のソースはウイスキーがいちばん好き”な我が家的には嬉しや♪ タルタルもナイスな出来。 ボタン海老 でかい。 …いや、それがテーマではないが(笑)。 隣にセブンスターを置いときたいくらいだ。これでよく三段デクリネゾンする気になったなあ(笑):キャビア・人参ピュレ・コンソメジュレ・タルタル・スプーン、ブイヤベース風椀仕立て、串刺し海老卵マヨつけ。 この海老は浜で酒蒸ししてしまうそうで味のノリが良く、ペロリといただいてしまう。 野菜 野菜のテーマは越冬根菜。トマト・ユリ根。根菜のリズムあるカラー、アルファルファがリズムある箸休め。 森 の情景は蝦夷鹿。 熟成ロースと届いて短期間のシンタマ(牡蠣タルタルもコレ)の対比。ロースにはラール乗せて。 行者ニンニク天・蕗の薹ソース・札幌黄・生姜。 北海道の森。 後から「鹿茶」。鹿出汁・アールグレイ・杜松。ほっこりとした余韻で、イイね♪ ここで濃いコンソメを呑ますより、感じが出てる。 蝦夷バフンウニ 可愛い曲げわっぱが出てきた。ごはん、よそってる♪ 蝦夷松で曲げわっぱを作ってもらったそう。あちこちに押されてる「Le Musée」の焼印がこのわっぱの底面にも。木のバターナイフも同じ作者とのこと(バターは興部の発酵、鉋屑のような成形)。 お箸の先を香りのお湯に漬けて待つ(巧み…)。 雲丹と赤ムツ(だっけ)のお寿司。ヌーべの凍ったような醤油。 酢飯おいしい。 「どうしてんだろ? 遠峰一青なら “おお、おお、おおお” ね♪」…とへべ(笑)。 曲げわっぱがチャーミングで、手の感触も温かくて良いのだ。海外に売りつける野望もアリ…とのことだったが是非成功してほしい。 雪解け かな……り、不思議な、、 極薄の氷球。 広島産レモンのお湯でポッコリ穴が開く。 作り方はまあ想像内ではあるけど、こーゆー形状の氷って会ったことがないから、ビックリするわ♪ *** 長編ストーリーをいただいて、待ちわびた春も、すぐそこだ。 ごちそうさま。 しかし今日のコースなんて、所謂「世界のフーディーズ」君たちなんか大っ好物って感じだよなあ。まあ今でも来てるだろうけど、もっと富裕ガイジンが押しかけてきてもおかしくない。 まあ彼ら、「ヨヤク、トレナ~イ」も大好物なんで、それにされてはかなわんが(笑)。 「昔の人は『ジロール摘んでハワイへ行こう』って言ったらしいですよ(笑)」 と語るシェフに北海道の茸カレンダーを聞いて、次回の夢を膨らませるワシらでありました。 ***** バスで円山公園駅まで戻る。 このあたりにフランス料理店「バンケット」が支店ワインバルをオープンする、と聞いた。 オープン直前の店構えだけ覗いてきたづら♪ 駅からすぐ…のいい感じの立地。呑み屋ですよ~、ってかなり気楽な設定みたい。名物狙いが「エゾ鹿のすき焼き」だそうで、うー、そのうち食ったる(^^;)。 それから円山公園には「フェルミエ」もある。 道産チーズを見に行く。興部のハード、二世古ミモレット、新札幌超熟成ブルーを購入。 ウチでいただくのに丁度いい道産が、最近はゴロゴロしている♪ …で。 腹が減る…わけ、ないやん(^^;)。 でまた、西11丁目「ベーシック」で珈琲。クラシックブレンド3番。
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by aqishii
| 2016-04-05 23:30
| 美味しい日々
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Comments(2)
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flowerofzabon
at 2016-04-07 15:52
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先週の土曜日(2016/4/2)にTV東京で放映されたクロスロードを見てびっくりしたところでした。あの静謐なのに、さんざめく光が満ちていた空間で、石井シェフが一人で野菜の皮剥きをしている姿はショッキングでした。
アーティスト気質のシェフの世間との折り合いがつかなくなった姿を見ることになるのかと危惧していたのですが、そんなありきたりの安い葛藤ではないことが伝わり、一安心したところで番組は終わり。そこで、この記事を拝読。いやー、なんかほっとすると同時に、個性を出して仕事をしている人に示唆を与えるところ大ですね。貴重な時期のドキュメント、ありがとうございます。 http://www.tv-tokyo.co.jp/crossroad/backnumber/person125.html それにしてもこの番組、昔も取材中に従業員に独りのぞいてばっくれられたおでん職人を取り上げたり、飲食店取材にしては異色です。NHKのプロフェッショナル等とは異なり、本当にあやうい感触が伝わってなかなか好きです。
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aqishii at 2016-04-08 01:28
番組が入っててオンエア時期に重なる訪問とはつゆ知らず、ビックリしました(^^;)。番組に重ねてより味わい深かったです。クロスロード、いいですね♪ プロフェッショナルもありがたい番組ですが、しょーじき時に「鼻につく」感もあったりします。
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石井AQのBlog、1959年式。本業とは別の、飲食関係クロニクルを中心に語るブログです。ほとんど、自分用備忘録のようなもの(^^;)。内容本体は、石井AQサイト aq.webtech.co.jp をどうぞ。 by aqishii カレンダー
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