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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2017年 12月 24日

ボクらの Cuisinier de l'année 2017 …なんちて

ボクらの Cuisinier de l\'année 2017 …なんちて_e0254271_00013449.gif
 …という訳で、シェフ・オブ・ジ・イヤーの発表である。…なんちて(^^;)。

 元から書けば、家の中ではずっと例年、「今年のシェフは※※さんでしたなあ!」なんてことは言ってたのです。
「Cuisinier de l'année 20** は誰ソレ! 」…って。
 まあしかし、どうでもいいハナシで、あくまで家庭内の年中行事。

 …のだけど、何かホレ、世の中はどんどんネット社会化するし、こちらのアタマはモノを記憶できなくなってくし、「じゃあまあいっか」…って、私的なモノだけど此処に公開で書き留めることを始めた(^^;)。というのが、これまでの経緯です。
 我が家の「勝手に賞」でござる。

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 …そんな訳で、2013年から此処に書いとくことにした、
「今年、ボクたちが最も“勢い”を感じた料理人」

 勝手に「受賞は一人一回」と決めてるので、広めの意味での「新人賞」的…な感じです。
 ボクら長年の付き合いのシェフたちの多くは誰も知らないところで勝手に既に受賞済(笑)…なので対象外です(^^;)。

 ま、改めて見てみると、「Cuisinier de l'année」と言ってるけど、本家Gault et Millauと比べれば「grands de demain」相当かなあ。

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ボクらの Cuisinier de l\'année 2017 …なんちて_e0254271_18194085.jpg

 …で、ジャ~ん!
 ボクらの Cuisinier de l'année 2017 は、


 今年はこの2人!! (敬称略)

 ボクら的には、白金界隈に彗星のように現れたフランス料理の煌き♪…ってなことになる。
 白金に…ってのは偶然の一致だが(笑)、このお二方は「今年初めて出会ったシェフ」という点でも一致している。ボクらにとっての「新しき天体」である。…そしてまた、「今年が初めて」の割には、なんだかんだと縁のある(出来る)お二人なのでありました。



[へべ]
 2017年の大収穫は、なんといっても正統本格フレンチの新星、ラ クレリエール柴田秀之シェフとの出会いでしょう。訪店のきっかけはアビスとスブリムのコラボイベント、卓上よもやま話のなかで伺った「ここ、いいですよ」との一言でした。教えてくださったR子さんに、大感謝です~♪
 建部洋平ソムリエとのご縁もあって、今年は本当によくお邪魔しましたが、食材と真摯に向き合い、深く掘り下げ続ける柴田シェフの料理には毎回新たな驚きがあり、その「自分を信じ、前に進み続ける力」にいつも心を打たれます。

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[AQ!]
 フランス料理本線の王道…の真っ只中から、こんなにコチラを焚き付けるシェフと出会うとは! という驚き。(前職場がモナリザの料理長…というのもまた別の驚きだったけど(^^;))
 柴田さんの料理に自分がキャッチフレーズをつけるなら、

「疾走する円熟!」

 みたいな感じになる。余裕ある蓄積を背負って、なおアグレッシブに思考を走らせ続けている。
 まさに勢いあるシェフ。
 料理には目を瞠るが、「お店としての」ラクレリエールは、まだ「開店1年半の純然たるニューカマー」という感じでもある(^^;)。ま、そこは、ギャップ萌え…ということもあるw。


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 *アペリティフアミューズ:ブーダンノワールのミニバーガー
 *アミューズブーシュ:白花豆フリット いくら添え / 冷製シューフルールのバリエ
 *北海道産釣り寒ブリのヴァリエーション
 *白子のポワレ 春菊とそのソース 菊花
 *スープ ド ポワソン “ラ クレリエール”
 *鰆のポワレ ジャガイモとアンチョビのソース
 *スペイン産ガルシア栗ブタのロースト ソースモリーユ
 *エルダーフラワー
 *タルトタタン “トラディショナル”
 *小菓子
 +13 Rieffel Brandluft Riesling
 +14 Mullineux Old Vines White
 +15 Churton Marlborough Sauvignon Blanc Best End
 +13 Meursault VV / Sylvain Loichet
 +14 Les Cassagnes de La Nerthe Cotes-du-Rhone Villages

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[AQ!]
 2016年4月開業…まだ「初めてのシーズン」を突き進んでいるところw。

シューフルール
 多層。ムース・まんま(食感もよろし)・コンソメジュレ。フランスっぽい。随所に王道本格な仏っぽさ。

 タルタル鉢。血合クルクル、血合パテ、レバ、胃、カツ、はらみのグリエ、脳天などの刺身。胡麻ソース。…ちょっと小分け過ぎね?…っていう見た目印象は、杞憂…どころか、大変な傑作。
 各部の描き分けの見事さ、そして各部とも味ること味ること、鰤って強いねえ。で、あの特有の鰤臭さのちょっと嫌な側面は、ほぼ無い。

白子
 表面がカリっと・全体も強さが全面にくる脱水の瞬間…に焼けた白子。春菊との共演があまりにも素晴らしい。実際問題、個人的に、「フランス料理の白子」の最大級ヒット(笑)。
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スープドポワソン
 「七草粥版」(笑)。ハハハ、一瞬の季節モノ…何人も食えなかったろう。また、コレ、けっこう良く合ってる仕立て。

 品書の「的鯛」は鰆に変更。シーズンやね♪
 パン粉ふり・菜の花敷き・黒七味添え。ブールアンショワがとてもフランス!
 別皿でカマ焼き・サラダが追って登場。よろし。

 モリーユ・なめこ…茸類。うるい。芽キャベツ。グリーンピース(昼は空豆だったとか)。小玉葱。トピナンブール。年も明け、
「冬の表現に“春の訪れ”も入ってきてます」

エルダー、苺
タタン。栗、林檎、チョコグラス

***
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 軸が正統本格フレンチやね~、とか言ってたら、前半はナチュールだけど「主菜~デセールはこれでもかってブール入ってます」って(笑)。

フロランタン・カシスマカロン・カヌレ・紅茶ジュレ梨

 「自分の作りたい料理、は作らない(笑)」…と凝った表現で語る。食材を見る目の真っ直ぐさ。
 ボクら的には、「凄い奴、キターーーーーーーーーー!!!」な、フランス料理の大玉新店!

 柴田シェフは、モナリザの丸の内~本店の料理長を上がって、昨年この店をオープン。

 ギーマルタンの魚部門にいたそう。雑談。
 厨房50度くらい…暑過ぎる、プラックはオン/オフしかない(笑)。
「辞めたらすぐ新装されたんですけどね(^^;)」
 『2つ星に落ちた時の朝礼』…現場にいたって(^^;)。
 8ヶ月…日本編の話より楽しそう(?)に語るシェフ。…は留辺蕊出身。スタッフの若者は札幌。
 カルタが木…だの、賄いの雑煮は焼かない…だの、豆まきの豆はな~に?…だの(笑)。

*****

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[へべ]
 10周年を迎えたエディション・コウジ シモムラ(Bon anniversaire!)下村シェフの門下からも、続々と新星が…。「若頭」ティルプスの田村浩二シェフは、たいていの集合写真で「頭ひとつ抜きん出て」写る偉丈夫にして美丈夫。エディション育ちのフレンチ根性と野球部魂に独自の感性で、香り豊かな料理を供してくれます(香りを軸にした事業など多方面で活躍中)。

[AQ!]
 こちらは、本人としても「スタートダッシュ」を決めろ!…って感じだろう、田村シェフ。
 2017年は、むしろ「ジタバタ」と表現したいくらいの大活躍である(笑)。
 素晴らしい料理に出会えた。
 …で、へべも言ってるけど、シェフの来歴でついピックアップしたくなるのが「野球部魂」(^^;)。そんなこと言われても本人、嬉しくないだろうけどw。
 田村シェフは、今の若い世代・クールで・イケメンで・器用で・アーティスティックで・シャープな・聡明な…そういう括りのシェフの一団、まあボクらが直接知ってる人聞くだけの人は色々だが、かなりのボリュームある層になってきたそういうシェフ達の中の一人…ってことになると思うのだが、そんな眺めの中で見た時のこのヒトの特徴の一つは「野球部魂」だよなあ…、ってのがボクらには、ある。
ボクらの Cuisinier de l\'année 2017 …なんちて_e0254271_13574905.jpg
 何かね~、重いコンダラをひきながらいきなり校舎の裏の山を登っていっちゃいそうな…(笑)。そういう、不器用で直截なショージキさ・マジメさ、壁に思い切り顔面から当たるも辞せず…みたいな、とこが、このヒトの料理の良さの底にはあるような気がする。
 ま、シェフの世界も、昔は体育会系根性論背負ってます…はむしろメジャーだったと思うけどねー。ま、そーゆー昔の価値観に帰れ、などとは1mmも思わないけど、いい意味での「野球部魂」的側面を、陽性に肯定的に自分の糧にできるふてぶてしさ…も、田村シェフの面白さを作っているような気がする。

 田村シェフはGault Millau的に見れば、grands de demainってより更にJeunes Talent…って感じかなあ、って言ってたら、本当にゴ・エ・ミヨ日本版でも「期待の若手賞」を受けてしまった(笑)。
 まあ「ティルプス」は先々の閉店を予告していて既に「期間限定レストラン」性を帯びているし、それにつれて田村シェフの行く手の波乱万丈も約束されている(笑)わけだが、まあ、がばれ!


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 *高知産ベルガモットチップ・リコッタ・三つ葉、“ピサラディエール”、ヘーゼルのポレンタ
 *ブロッコリー
 *雲丹と人参
 *蛤と青豆
 *烏賊
 *白アスパラガス
 *甘鯛
 *鳩
 *ジンのデセール
 *苺・桜・
 *ミニャルディーズ
 +Champagne Conversation brut BdB / J.L.Vergnon
 +Sylvain Saux (Pechigo)
 +15 Gewurztraminer Les Pucelles / Julien Meyer
 +澤屋まつもと 守破離 秋津地区山田錦 1290 SAIDO
 +黒木本店 球
 +14 Bandol rose / Domaine Tempier
 +08 Ch.Haut-Marbuzet
 +Bobby's Schiedam Dry Gin

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[AQ!]
 颯爽と登場、新シェフ田村浩二!

 ベルガモット、“ピサラディエール”オニオンおやきをいただき、「あ、このヒトはフレンチだ!」
 とってもフランス料理根性。

ブロッコリー
 浅利出汁ブロッコリー、パルメザン、グレープフルーツとそのワタ、ディル
 傑出。
 香りのポッ、ポッと立つところを楽しむ。「実は、エディション・オマージュ♪なんです」と言う。
 …そう、ちゃんとは存じ上げていなかったのだが、この若イケメン、エディションの下村シェフ門下なのである。元々「馮」で入って、エディションの立ち上げ時含め、参画している。
 香りと味の遊歩道をお散歩するみたい(ヘテロ感)。

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雲丹と人参
 雲丹、ひとみ五寸、甲子柿、アマゾンカカオ
 傑出。
 ウルサン・キャロッのフレンチ「核」を据えて、延長・拡大する。
 甲子柿:渋柿を柿室と呼ばれる密閉した空間で燻して脱渋したもの …がキモの役割を果たすが、まあとにかく途方もない。

蛤と青豆
 蛤、伊産青豆、その鞘とエストラゴンのソース
 ワシら、シーズン初蛤?でしたかなあ、The春。エストラゴンがよく効く。

烏賊
 ヤリイカ焼、墨のリゾット、墨・イシルの蘇、墨の網、百合根
 傑出。
 蘇にイシルも加えてフロマージュっぽくw。切り込みを入れたヤリイカの処理も素晴らしい。

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白アスパラガス
 鳩の心臓と肝臓、玉子とフロマージュ
 大胆、美味、フランス料理はこうこなくちゃ。心臓AとBの微妙な部位違い。レバのぼつぼつ感をなくす処理。

甘鯛
 甘鯛ポワレ、小蕪、もろみ

 ブレス鳩各部のロティ&藁炙り、おこげ
 ロティっつか低温っつか、ウォーマーで入れる…そうだ。現代型のウルウルの良い仕上がりだが、藁炙りをはじめ、料理的に隈取りをキリっと入れてきていて、食べ心地がたいへん美味しい。
「肉料理は、自分的に苦手感があるんですが(笑)」
 そうかもしれない。その分、仕様設計を細かくし、丹念に点検しているのが効いているのかも。

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 聞きながら、15年も前に「馮」で初めて下村シェフに出会った時に、「魚と冷前菜はまだ、もうちょっと…」とか言ってたのを思い出した。率直というか正直な一門だ(笑)。

苺・桜・
 あれ、なんか3題話っぽかったっけ? 苺と桜と何だっけ?
 キリコさんは、レストランデセール上手だね~、とやっぱ思う。

「こういう環境ですがボクは下村門下です(笑)」
 胸を張る田村シェフ。そう、シモ「ムラコージ」とタ「ムラコージ」なのだ。
 イタリアンも経て、ミラズール。
 下村時代の話を色々伺う。フランス料理の厨房での話を実際に聞けば、ちょっといい話だったりハートウォーミングなエピソードだったり…する訳がない(笑)。
 バチッバチの、辛さや冷や汗や拳固が交錯する、、、ハードボイルドだど♪ (^^;)

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el valle

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by aqishii | 2017-12-24 13:42 | 年代記(日本) | Comments(0)


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