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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2018年 05月 08日

どうぞお召し上ガリシアください (5)

 GWはガリシアへ。
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どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21001874.jpg
 [ACTO 1]
 *Pan de trigo e ova de pescada a brasa
 *Empanadilla de millo, congrio e maruca
 *Freixons de millo miudo, coco, ourizo e oxalis
 [ACTO 2]
 *O Rei dos Xibaros.
  Cigala o sal, coco, titote e fiuncho
 *O canto da Maruxaina.
  Percebe, caldo de anchoa, ortigas e pina
 *O Home Peixe.
  Rape e cinzas de porro
 *Peixes de Horreo.
  Salazons, fumados e secados
 *Sargo nun guiso.
  Tripa guisada, pataca e allo
 *Foie de galo celta.
  Pan de millo amarelo de Tui, maza e mostaza
 *Rabo de porco.
  Requeixo e zume cortado de oxalis
 *Romasanta.
  Todo corazon
 *Auga de alicornio.
  Vaca e millo
 [ACTO 3]
 *Bunuelo de vainilla de Tahiti
 *Queimada fria dentro dunha lima
 *Chicolate picante e acido
 *Limon de A Serpe
 *Rosquillas de praline
 *Semente de eucalipto
 +Gorgola Brut Nature
 +白ワインカクテル
 +Manzanilla Maruja Juan Pinero Sanlucar
 +03 Lapena Dominio Do Bibei Ribeira Sacra
 +Sazon Ponte da Boga Adeca Ribeira Sacra
 +08 Cote-Rotie Blonde du Seigneur Georges Vernay
 +12 Gomariz Dende O Seculo X

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21010857.jpg
[AQ!]
 Restaurante Pepe VieiraはPontevedraとO Groveの中間くらいにある。海に臨む高台に建つ。
 街道から細い道Camiño da Serpeに入る。「Serpe」はガリシア語で蛇の意、らしい。クネクネ登る。
 広大な敷地に高級感ある白い大バコ。概略は知っていたけど、立派なメソンだ。
 タクシーのホセ氏が「じゃ、楽しんでおいで♪」と手を振る。
 移動日なので手荷物カートをごろちゃら引き摺りながら、大扉を開ける。

 入ってすぐのサロンから、ガラス張りなので、厨房が見える。
 厨房スタッフの方が先にワシらの到着に気付いたようで、「おい、もう客が着いたでがんわ」とサービスを呼んでいる(笑)。
 荷物を預けて案内される、サルを通り抜け、庭に出る。
 と、庭で談笑する料理人2人…お、シェフではないか。

 Xosé Torres Cannasシェフ。2013年に日本・スペイン交流400年記念『スペイン・ガリシアフェア』で、Pepe Sollaとともに来日。その時にいただいた料理は、今回のガリシア旅行の“動機”でもある(笑)。
 いやあシェフどもども…と握手した後、来日時の記念写真を見せてみる。「お、なんだなんだ、5年前のトキオじゃないか、懐かしいなあ」…と頬が緩む。今日はひとつ、よろしくたのんます♪

 明るい庭のソファに落ち着く。

[へべ]
 ガリシアへ来て初めての、輝くような快晴の日。
 シェフの笑顔に迎えられ、海を望むテラスのソファにくつろいで、冷えたアルバリーニョで乾杯!
 …海が青い。空も青い。
 ここは楽園か? 楽園なのか? と、AQと顔を見合わせる。

[AQ!]
Pan de trigo e ova de pescada a brasa
Huevos de pan de trigo y jamones a la plancha
 庭にも屋台のような調理台があって、そこからツマミが届く。
 実に気持ちよいひととき。コチラはまず間違いなく、ハイソな結婚式会場なんかに使われることも多かろう。

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Empanadilla de millo, congrio e maruca
Pasta de maíz, congrio y maruca
 現代的なアミューズ。
 そういえばさっきシェフが、「Pepe Sollaは行くの? Pepeはちょうど今、メヒコへ出張なのが残念だなあ」と言っていたのだが、“メヒコ調”はこの辺りのガストロでよく使われているテイストのようだ。

Freixons de millo miudo, coco, ourizo e oxalis
Freixons de maíz dulce, coco, erizo y oxalina
 ではそろそろお席へ、と室内へ戻る。席へ…着く前に、サル中央の調理台の女子から声がかかる。「オニーサン、ちょっと寄ってお行きなさいよ」(違)
 ニコニコと進める作業は、タコス番長…というところか。チューブからチューっ、ピンセットでサササっ。

[へべ]
 訪れる客をくつろがせ、楽しませる心配りが随所に凝らされ、効果を上げている。
 テラスで二品、テーブルへの道すがらでも一品が供されるアミューズは、それぞれ担当の若い女性料理人がちょっぴり照れながらも誇らしげに、目を輝かせて説明してくれる。

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[AQ!]
O Rei dos Xibaros.
Cigala o sal, coco, titote e fiuncho
El Rey de los Xibos.
Cigal o sal, coco, carne picada y fiuncho
 着席第一弾はシガラ。担当で現れるのは精悍なヒゲ。スーシェフと言われたら信じる…ってタイプ。
 海老を捌いて汁碗に投入していただく。“海老のセビーチェ”風の味わいとなる。
 この地のシガラは優しい食感と爽やかな甘みで、美味。
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O canto da Maruxaina.
Percebe, caldo de anchoa, ortigas e pina
La canción de Maruxaina.
Percebe, caldo de anchoas, ortigas y piña
 ドンっ、ペルセベスだ、食え♪
 ボールに20個あまりも入ってるだろうか、イラクサ・パイナプル風味…と多少はモダンだが、ほぼベタに「さあ食え」という潔い出し方。嬉しい♪

[へべ]
 ペルセベスがどっさり!
 わりと小粒だが身がよく入っていて、たいへん美味しい。手で剥きながらもりもり食べるうち、自然とリラックスして打ち解けた気分になる。

O Home Peixe.
Rape e cinzas de porro
El hombre pez.
Pan rallado y puerros
 紙包みを開くと、ごろりとラペの塊が。こちらもそのまま、手でどうぞ。
 ちょっとワイルドなお膳立てと、鮟鱇の見事な身質と味の力強さとぴったり合っている。

[AQ!]
 Xoséシェフが持ってきたシワシワの紙包みから炭団…みたいなラペ。
 いただくと、プリプリな鮟鱇と悪戯な仕立てがピッタシ。ベテランらしく様々な娯楽性を盛り込んでくる料理だが、「ツボ」を押さえてる。
 この店はワインペアリングなのだが、ここに合わせるのは“ワインカクテル”。サイホンからシュワシュワのミックスが注がれる。

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21055137.jpg
Peixes de Horreo.
Salazons, fumados e secados
Pez Horreo.
Salazons, ahumado y secado
 次は厨房の方で如何?…ということでキッチンツアー。
 待ち受けているのは乾き物番長(笑)、キリっとした女子。横からシェフがマンサニージャを注いでくれる。
 塩漬・燻製・干物…の魚・魚卵・貝を、切ってそのまま・軽く炙って…などで、いただく。(番長の後ろの巨大炙り釜が迫力)
 この段はほぼ、「ガリシアの伝統」の紹介って感じ。
 目をひき・説明を聞いて「やっぱりそうか!」・食べて面白かった♪…のが、ランプレア(ヤツメウナギ)。長年いただきたかった魚なのだが、これまで縁無く、多分はじめて。実際、欧州でも現在では、ある程度まとまった数が捕獲できるのはほぼガリシアに限られる…くらいであるようだ。変な骨格。
 これら基本の説明はシェフが行うのだが、「コレって何度で何時間干すんだっけ?」的なことは一々、番長に聞く。
 こちらの店では、ざっと見、シェフが最も英語が堪能かもしれない。残念ながらサービスの英語担当は大したことない…人物的にも大したことない(^^;)(翌日のCasa Sollaのメートルは超優秀)。
 厨房でシェフが「記念撮影しよ~」というので、はいチーズ。…その日のうちに「トキオからダチが来た」ってインスタグラムに上がってたのはワラタ♪

Sargo nun guiso.
Tripa guisada, pataca e allo
Ciervo en un estofado.
Tripas hinchadas, patata y ajo
 テーブルに戻り、軽く煮たサルゴのガリシア風。サリコルニアをあしらって。
 直球かつ洗練された料理でたいへん美味しい。この料理に合わせたパンが出る。
 サルゴ…ふうん知らんけど、といただいたが、後にメルカドで見ると、こちらではポピュラーそうな、見た目は石鯛とかみたいな魚(見た感じより味が良い)。英語は「ホワイトシーブリーム」らしい。

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21072032.jpg
[へべ]
 料理はサルゴが良かったなあ…

[AQ!]
Foie de galo celta.
Pan de millo amarelo de Tui, maza e mostaza
Foie de gallo celta.
Pan de maíz amarillo de Tui, macis y mostaza
 薄焼きコーンおやきで蓋をした石臼。その蓋をヒゲが割り落とす。中には、鶏フォア・玉葱・オキサリス/ナツメグ・マスタード。別添でmochi…餅♪
 Tuiは南ガリシア、ポルトガル国境に近い町。

Rabo de porco.
Requeixo e zume cortado de oxalis
Trapo de cerdo
Zanahorias y jugo cortado de Oxalis
 さて、肉の時代。
 バリっとした料理。豚の旨味が、人参ムース・オキサリスの酸味ソースに映える。ケールみたいな青菜が秀逸。
 クールで熱い。

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21083076.jpg
Romasanta. Todo corazon
 メニューの「Romasanta」は後でググルと、「ガリシアの獣 Romasanta」という2005年の狼男映画であるらしいのだが…。
 凍結コンソメ球にコンソメを注いだ…みたいな一品…コレのことなんか?、狼男。
 面白い口直し?…なのだが、量が多い。“まあコレは呑みたいだけでいいっしょ”…というのがワシらなのだが、隣卓のオジサンはグビグビと飲み干していた。
 そういえばこのオジサン、ペルセベスの汁もペロリと行っていたなあ。ペルセベスの煮汁も俺ら的には“美味しいけどお味見程度”って感じだったんだけど(^^;)。好きなモノに対しては多少、塩分濃度がイってても強いんやなあ…。

Auga de alicornio.
Vaca e millo
Auga alicorn
Vaca y maíz
 ええと何回目だw、ヒゲが今度は焜炉を抱えてやって来た。
 乗っているのは葉っぱ…牛肉の玉蜀黍葉包み焼き、のようだ。
 焼いて捌いて盛り付けてソースの仕上げをして、さあどうぞ♪
 なんてったってガリシア牛!

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21094137.jpg
Bunuelo de vainilla de Tahiti
Galleta de vainilla tahitiana
 山盛りのブニュエロ、「はい、どうぞ」…から甜品。
どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21100698.jpg
Queimada fria dentro dunha lima
Quemado frío dentro de una lima
 ケイマーダ♪
 刳り貫きライムからしゃくって呑んで、冷ケイマーダ。

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21111545.jpg
Chicolate picante e acido Chicolate y ácido picantes
 表面の薄チョコ蓋をクチャーラでパキンと割って、中の甘酸っぱ辛いチョコを舐める。

Limon de A Serpe
 クチャーラでパキンと割れる偽レモン…先ほどの真ライムと対照か。
 頭の天辺にスコンと抜ける酸味…酸っぱさのレモンクレーム。ガリシアは、酸っぱいものは本気で酸っぱい…ものが幾つかあった。

Rosquillas de praline
Donuts de praliné
Semente de eucalipto
Semilla de eucalipto
 小菓子も個性的に。…というか、コチラのポストレは全体に「小菓子船団」って雰囲気が濃かったかな。
 “ガリシアにおけるユーカリ”の講義がサラっとあったんだけど忘却。後でググルと「製紙業のために導入されたユーカリが多くなり過ぎ、生態系のバランスを崩している」ということはあるらしい。
 まあ、あるモノは食ってしまえ、とw。

どうぞお召し上ガリシアください (5)_e0254271_21115200.jpg
*****

 何ともノンビリとユッタリとした4時間ほど。
 Xoséシェフはガリシアのガストロ界ではそろそろ重鎮・ベテランってポジションかな、と思うのだが、その良さがよく出てる。
 余裕綽々で客目線のわかったコース。娯楽性をもった動線・モダンはモダンにかまし・ところどころにベタなほどのローコーな皿を・冗談は冗談として・勝負どころには本格的勝負皿を持ってくる。
 巧い! ゆえに、楽しい♪ (ひと皿ごとの完成度の絶対値も、けっこー、高い)
 まあお天気まで、そういう店キャラによく合ってくれた午後でした。





by aqishii | 2018-05-08 20:58 | 美味しい日々 | Comments(0)


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