2018年 07月 05日
先々週末の話。 --------------------- 明けて日曜はピーカン。 宿の朝食をゴキゲンにたいらげて付近を散策。 送迎バス。ぼんやり窓外を眺めていると、「ん、ん、来たことあるゾ此処」…見覚えある風景。 …越後妻有清津SoKo美術館であった。そっかあ、3年前のトリエンナーレん時、この辺グルグルしたんぢゃん…。(って今更(^^;)) 越後湯沢駅。 さて昼メシは…、ってお昼に越後湯沢にいれば考えることは決まってるでショ?…って事前に石打「アンドラ・モンターニュ」にメールしたのさ。 そしたらば何と折り悪く、シェフ熊さん(妙に嬉しそうな文面で)「その日はワインの試飲で留守」とのこと…外遊してるってぇぢゃん(^^;)。 いきなり計画が頓挫したのだが、考え直すに、ん、そう言えば何か新潟の店がどうちゃらと最近聞いたよなあ…と思い出す一軒があるのであった。 「レストラン ウオゼン」 三条市である。ああそれはイイ。予約予約… 新幹線で燕三条駅。 店の最寄駅は東三条だが、燕三条からタクシーでもしれている(5kmくらいかな)。 「レストランウオゼンって分かりますか?」 「わかるよ~。…ん、あそこってレストランだっけ?」 でスタート。そうUOZENは2013年オープンなのだが、それより以前は和食店「魚善」であったのだ。(この屋号だし(笑)、それは何となく聞いていたのだが、マダムのご両親が営むお店だったそうだ) *前菜:ヤングコーン・熊ラルド、カジカ、猪リエット、鴨カスレクロケット *ぼたんえび *ニシバイ貝 *ガンジー牛タルタル *グリーンピース *黒ソイ *猪 *えちごひめ・リオレ *小菓子:プリン・キャラメル・マカロン +17 山ぶどう 国豊 / l'escargot 一面の田畑の真ん中に、たつ。 ど田舎…って感じではないのだが、周辺は田畑の緑が揺れるばかり、用水路があって次々に色んな種類の鳥が飛来する。 看板は「魚善」のまま、外の佇まいはちょっとした懐石割烹、靴を脱いで上がる店内はこざっぱりとしたレストラン。窓外が拓けていて気持ちイイ。 ランチは手軽なコースもあるが、夜のフルコースでお願いしてある。 ビールで喉を潤しながらワインの相談。「赤で重すぎず…」的に曖昧にふってオススメを出してもらうと、やってきた3本が、98のフォンサレット/06のジョルジュリニエ・ヴォルネ/レスカルゴの山ぶどう…で、(けっこー激しく)悩む(笑)。(ええと…やるなあ、、、) んー、ま、「初訪問だし」「昼である」「新潟だ」「友人のJさんが近いうちにカーヴ訪問すると言ってた」…ということで、17レスカルゴ国豊にした。夜だったらフォンサレットにしたかなあ。 前菜:ヤングコーン・熊ラルド、カジカ、猪リエット、鴨カスレクロケット 野趣あふれる4点盛り 丸ごと焼きヤングコーン 熊ラルド味噌漬(猟師に習った) カジカ 山椒 猪リエット 蕗の薹を散らして 鴨腿のカスレ(自家農園白いんげん)のコロッケ仕立て 行者にんにく入りの衣 力強く興味深い盛り込みは、いただいてもまさにその通り。「軽いご挨拶」のアミューズではなくて、食べ応え十分…なスタイル、美味。 ボクらに珍しく、嬉しいのがほんのチビのカジカ。もっと大きくなると筌(店内に置かれてる)を仕掛けて捕るそうだが、このサイズは箱メガネで覗いてピアノ線で突く…のだとか。こんだけチビでも頭の骨なんかゴツい。 …で。ん~、ボクら、レストランでの食事の話を過度に酒と絡ませて語る…のはあんまし好きくない、というか、ソレはソレ…と思ってる部分はかなりある、のだが、えー、コチラの料理はですね~、前菜をいただいてる時点でもう、「むっちゃワインに合う!」って感じがしました(^^;)。 いやあ呑める♪ (以後も一貫して)ワインを呼ぶんだよなあ。(…いや、無しでもイケてる!んだけど) まあちょっとフシギなもんで、所謂「ワイン型料理」的に、「塩が強い」とか「油が前面に出る」ってのではまるで無いんだけど。「エキスが濃い」感じ、とは言えるかなあ。 …ま、ボクらの席自体、セラーの真ん前で、そのセラーというのは壁一面を占める堂々たるもの。 マダムは優秀なソムリエールであり、シェフは「いやあそれが場所が足りなくなって、2階にも補助セラーを作ってるところですワッハッハ」。…と、「そりゃそか」的(笑)。 ぼたんえび 可愛い仕立て、この皿はシグネチャ的な一品なのか、紹介写真でも見た。 ブイヤベース調のスープをジュレにしてまとわせ、ルイユをちょんちょん…そこに香草。 良き、入場行進なら旗手。 ニシバイ貝 佐渡産で、島内消費が多くてあまり外に出て来ない貝だそう。バイというよりツブ?っぽく、美味。 緑アスパラとブールブランでまとめた皿と、貝殻に佐渡蜜柑風味ポタージュ(!)…という2点構成。 え、みかん!?…だけど、佐渡って、蜜柑・林檎が共存する珍しい土地…だそう。 えーと、コチラUOZENさんにはあまり予習しないで来たのだが、何となくモダンイノベーティブのローカル版の細身な料理を想像をしていたのだが、いただくと、モダンでイノベーティブでローカルはその通りなのだが、底流にイイ意味でフランス料理王道ちっくな豊かさが、色濃くある。と感じる。 ガンジー牛タルタル 加勢牧場産ガンジー牛9歳 長岡蕎麦米 ナスタチウム ルコラスプラウト 葉ワサビ漬 美味しい! こんだけのタルタルが食べられるとは! ボクら、日本の牛肉は、基本、乳牛の方が好き。4歳以上…さらに言えば8歳以上が好き。…なところに、いきなり放り込まれてきた♪ 味がジワっとあって、良い香りしかしない。 蕎麦米や漬物といったお供も、バッチリ。 グリーンピース 自家農園グリーンピース・コンソメ・リコッタ コリアンダー花・葉 初夏の爽快。「ほっとひと息なお皿」のポジション…と安心する筈がコーフンしてしまう魅惑(笑)。 黒ソイ 糸魚川沖・黒ソイ コンソメ詰め・ビネガーのソース 萱風味オリーブオイル シオデ どうしよう、えらく旨い! 黒ソイは糸魚川の沖、「ほんとは太刀魚を釣りに行ったんですけどねえ(笑)」。大ぶりだったそう。「あの辺は、タチもそうですが、脂肪のノリがいいんですよね。蛍烏賊とか食ってんじゃないかと思うんですけどね(笑)」 茶と緑の2トーンに見えるソースがまた、すんばらしい♪ (舐めてしまう(^^;)) あと、シオデにも触れずにいられない、山アスパラらしさ…シオデがこれだけ活きて使われてるのはあまり見たことない。 猪 堂々たるメイン。猪は60kgで、木の枝には、ロニョン・ハツ・レバーが刺してある。猪でロニョン…はボクら的に記憶が出てこないなあ、初めてかも。 フレッシュでダイナミックでぴちぴちの旨さ。 「最近は“熟成”が流行りですが…」と断りながら、「こういう肉は熟成かけない方が好きなんですよね」と仰られていた。うん、大賛成。 ボクら、熟成/非熟成の違いを良い/悪いで分ける気はまったくないが、目の前にある材料を自分の頭で判断することは大事だよなー。少なくとも、流行に照らす…のではなくて。 …で、やはりソースが旨い。シェフのソース、好きだなあ。昨年仕込んだカンズリと、何だっけ野菜炒め黒味噌みたいなの、の応用だとか。 ガルニのかぐらなんばん、素敵。新潟らしいし。 えちごひめ・リオレ 越後姫は苺の品種、うーん日本中に姫さまだらけだな(笑)。 そして新潟と言えばコシヒカリ…はリオレとして登場、まことに結構。加勢牧場ガンジー牛はこの皿では「本職」(^^;)で活躍。 ところで家庭内話だが、ここんとこ、オマージュ~シャントレル~ウオゼンと3連発の「リオレ」で目を白黒。流行ってんのか、リオレ(笑)。 ***** いやあ楽しい、ビックリレベルで満足した~♪ 季節を変えて是非再訪したい! …で、実際の時制では、食事を終えてトイレにも行って店内の狩猟用具や剥製を拝見などしているところで、井上シェフとお初の対面。 マダムの「ちょっとちょっと…」で出てらしたシェフは、髭で、目のクリクリした野人(シツレイ)…とでも言いましょうか、ちょっと稀人風味もあって、魁偉、愛嬌、予想通りでいてそのちょっと上を行く、実に味わい深いお人なのでありました。 この人が、「畑に野菜を、海へ釣りに、山へ狩猟へと出掛け、自ら食材を調達すべく駆け巡る」。 くぅ~、食べ歩きは楽しいぜ♪ ---------- 大満足のお昼から、新幹線で帰京。 小腹は空いたかなあ。注文量が調節できる店なら寄ってくか。 …と上越新幹線沿いに思いを巡らしてたら、ふと思い出した「羊香味坊」。 …そう、所謂一つの「孤独のグルメの店」の一軒なんだけどぉ(^^;)、出し物は丁度よろしそう、覗いてみて入れたらアリか。 *ラム串五本セット:ラムショルダー・ラムショルダーキノコ・ラムレバ・ラムランプ長芋・ラムネック *ジャガイモとセロリの炒めもの *老虎菜 *ラムクミン炒め +Trinchero Rosso Racines 井之頭五郎おそるべし、フルに満席…なのだが行列は無し。“あ、待ちの先頭ってことスカ”と迷う間もなく、招じいれられる。 賑やかだ。 現代的で活気あふれる店作り、席のお尋ねから始まって終始イイ感じのサービス、なかなか良い店だ。 …料理はともかく。 老虎菜の材料バランスはグッド。
by aqishii
| 2018-07-05 15:59
| 美味しい日々
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