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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2018年 08月 16日

お盆でおぼーんホルム (3)

 お盆休みは北欧へ。(標題「お盆でおぼーんホルム」はU-35活躍中のUGシェフからいただきました、、、(俺のせいじゃないっw))

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 [bornholmerbank]
 *Cured duck breast, crispy nasturtium
 *Kohlrabi, apple compote, wild thyme
 *Fava beans, fig leaf, nasturtium capers
 *Shrimp toast, green rhubarb, dried cep mushroom
 *Oysters, sauerkraut, hazelnuts, sorrel
 *Palthästa, aged cheese, flowers
 *Scallops, roasted yeast, broccoli, rhubarb root
 *Preserved tomatoes, onions, tomato water
 *Potatoes, blueberry kombucha, parsley, Havgus cheese
 *Carrots, wild horseradish, lyme grass, reduced cream
 *Herring, pickles and fresh cheese
 *Chicken shawarma, sea buckthorn and rosehip BBQ, sorrel
 *Rhubarb, caramelized buttermilk, nobilis
 *Crème fraîche, berries from the garden, pumpkin
 +17 Loimer Kamptal Gruner Veltliner
 +16 Bourgogne blanc Maison Emmanuel Giboulot
 +15 Domaine Sebastien Riffault Sancerre Les Quarterons
 +Domaine Saint Nicolas Le Haut des Clous Thierry Michon
 +17 Isabelle & Bruno Perraud Morgon
 +17 Strohmeier A'Siassa Schilcher No 7

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[へべ]
 日曜のレンヌの町は静か。夜、タクシーでカド@ボーンホルムへ。
 ボーンホルム島は、結構大きくて、その分「島にいるのじゃ」感は薄い気がする。

[AQ!]
 さてこの旅の目的の一つ、Kadeauだ。
 ウチらの極私的位置付けを言えば「北欧最大の忘れ物、宿題」…て感じでそか(^^;)。
 いやあ、やっと行ける。

 ホテルチェックイン時に宿のオヤジにタクシーを頼んどいた。
 滞在するほどに感じることになるが、ボーンホルム島はでかい。まあ、呑まないなら移動はレンタカーがベストソリューションなサイズだ。
 西端のレンヌから南端近いカドーまで、かなりの距離となる。…タクシー往復で、15000円ほど。痛い(^^;)。デンマーククローネのパンチ力でもあるが。

 タクシーは本道から脇道を海に向かう。ドン突き、ほんとに「すぐそこ海」の、ちょい高台に建つ。
 そこは、えーと、賑やかだ。「わータクシーだ」とかドアを開けられてしまう、「わーまだヒトが乗ってた」…乗ってるよ(^^;)。
 海岸線に下りる遊歩道の溜まり場ポイントでもあるのかな。
 Kadeauは「高級海の家」みたいなレストランだが、タクシーのおっちゃんは「入口はアッチだから」と狭い海側の小道を指す。
 回り込んでみたら、その通り。後から見てると、入口がわからなくてウロウロする客も。

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 店内はもうだいぶ始まっている。簡素な小屋の趣き、板壁が北欧調、白塗りの卓・椅子、蝋燭、その辺で摘んできたような草花を飾る。
 おまかせコース&ペアリング、とその短縮版…の2本。おまかせで。

Cured duck breast, crispy nasturtium
 フィンガーフード冒頭…としては逞しい鴨胸塩漬、御酒(Gruner Veltliner)を呼ぶ。
 ナスタチウム葉のクリスピーが面白い。

Kohlrabi, apple compote, wild thyme
 コールラビの生と漬の2ファソンをそれぞれ極薄円板に切って重ねる。
 何処となく東北w。

[へべ]
 爽快な食感のコールラビに薄く重ねたのは、林檎のコンポート。
 ボーンホルムに来てみて、おぉ! と思ったのは、そこかしこに植えられ、たわわに実った林檎の樹々だった。
「オリーブじゃなくて菜種油、ワインビネガーじゃなくてアップルサイダービネガーを使うんだ」という、あのクラウスマイヤーの言葉が腑に落ちる光景だった。

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Fava beans, fig leaf, nasturtium capers
 一口食べて、目を閉じる。あぁ、好きな味だ、こういうのが食べたかった、ここに来られて本当によかった…そんな思いが湧いてくる。
 無花果の葉のオイルやハーブの蕾の風味が、味が、生き生きと語りかけてくる。原色ではない淡い色や渋い色、大声ではなく、澄んだ小さなつぶやきや囁きを重ねていくような料理。

[AQ!]
 ミニ・ベゴニアっぽい花を添えて。

Shrimp toast, green rhubarb, dried cep mushroom
 クリスピーな小海老が1人あたり5尾くらいか、浜の小石の上に鎮座する。薄いタルト上なのでひと口でどうぞ。
 「見た目から想像」がつくブツなのでパクリと行く、が、食べて驚倒♪
 いろいろ凄い。こーゆー小海老でこんなに味がタップリしとる奴がおるんか! 季節のリュバーブとセップ粉が鋭く盛り立てる。

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Oysters, sauerkraut, hazelnuts, sorrel
 置かれた皿に見えるのは、くすんだ緑茶色の葉っぱだけ。そのソレルの蓋の中に、刻んだ牡蠣・ザウアクラウト(けっこー緑の部分)とヘーゼルナッツの和え物。
 …と覚えているのはそこまで。気がついた時には空っぽの皿が目の前に佇んでいるだけでした。
 被害者のAさんは、そう語る(笑)。
 …というくらい、美味い。恐ろしい取り合わせ。
 全体に漬物っぽさがあるが、とりわけソレルがそうであるのが、面白い。漬物+海鮮+ナッツ…という発想自体はご家庭でも真似したくなる、東南アジアにもあるね。

Palthästa, aged cheese, flowers
「Kojiを使ったパンケーキです♪、お手でどうぞ」
 穏やかな中に香ばしさや綺麗な酸や香気が漂う、可憐だけど郷愁的な一品。なんとも言えずフンニャリした食感。
 繰り返しになるが、穏やかな食べ物…なのだが、どこかにヒトを狂わすほどに懐郷的な誘惑がある。へべは食べたすぐ後から旅行中、「次はいつ食べられるだろう」といったような譫言を呟き続ける。

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Scallops, roasted yeast, broccoli, rhubarb root
 モダンノルディックマニフェスト調に、食材は近場の産品が殆どだが、帆立に関してはノルウェー(Frøyaかな)産。貝殻の縁の美しい紫色はノルウェー産の特徴なんかな。この旅行中、帆立はみなノルウェーだったなあ、、、ちょっとモノが違う♪
 「北欧と言えばブラウンバター」というイメージがあるが、この皿はモロにブラウンバター仕上げを押し出している。上を覆っているリュバーブの酸味は強くない。
 思い起こせば、ウチが「ノルウェー産帆立ってヤバイ」と感じた最初はオスロ「Ylajali」だったけど、その時にも「コレばかりはシンプルにバター焼で…」と出していたっけなあ。

Preserved tomatoes, onions, tomato water
 ラッキョウか?…いやトマト詰めの小玉葱。トマト漬・トマト水。
 「強烈な」トマト展開で、厚みのある酸、風味の強い野菜皿。

Potatoes, blueberry kombucha, parsley, Havgus cheese
 この皿をいただく、「この時のために生きてきたんだ♪」…というくらいの至福の時間。
 最高のジャガイモ料理の一つだろう。それは信じられないくらい、寄せては返す、悦楽の漣、、、
 狂おしく、かつ、涙腺に訴える。
 狂言回しはブルーベリーのkombucha。kombuchaとkombuはともに世界を席捲中だが、両者に関連無し…とか世界のヒトは混乱してねーべかw?

お盆でおぼーんホルム (3)_e0254271_20511390.jpg
Carrots, wild horseradish, lyme grass, reduced cream
 人参の表現、よく効くワイルドホースラディッシュとの対比で。
 香ばしい。
 カドーの食材表現は、逞しく、ダイナミックレンジが広く、刺々しさをスポイルしない。

Herring, pickles and fresh cheese
 皿の上、鰊が鎮座する。
 よく見れば、薄~いタルトにチーズを薄く塗った台。鰊の上にはハーブなど「6種の薬味」がポチポチと置かれる。
 パクリといただけば、至極具合が良く美味。

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Chicken shawarma, sea buckthorn and rosehip BBQ, sorrel
 サボイキャベツの…タコスw?
 「シャワルマ」という言葉は…以前そんなに使ってたっけ?…イマの北欧では流行っているというか認知度高い。ファーストフード店なんかもフツーにshawarmaと書いてる。
 焼シーバックソーン・ローズヒップと、オサレBBQ気分。タップリのソレルと。

Rhubarb, caramelized buttermilk, nobilis
 リュバーブ・キャラメルバターミルクのタルト…なのだが、謎なのが上に整列するミニミニ赤兜蟹みたいな軍団。
 これが、nobilis、、、ええ、nobilis松のシードというかコーンらしい…と聞いてもようわからんが(^^;)。
 独特の風味(淡いが)・食感、面白い色。

Crème fraîche, berries from the garden, pumpkin
 「berries from the garden」が誇らしく見える、ふっくらとした甘み・鮮烈な酸・ふわっとした食感、夏らしいデザート。
 既にとっぷりと夜の帳が下り、卓上に蝋燭の炎影が揺れる。

 ミニャルディーズが蜂蜜バタトーストとリュバーブ漬…ってのも、いなたくてイイなあ。

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*****

 トイレは別棟、外へ出て裏へ回り込む。雨の日は傘をさして行くようだ。久しぶりに見る、田舎パターン。
 裏へ行くと厨房が覗き込める。簡素な厨房。プリザーブの瓶はコチラにも沢山並ぶ。

[へべ]
 土地で採れる野菜やハーブやそれまでハーブ扱いされていなかったさまざまな植物たちが、大切に生かされて、新たなおいしさを奏でている。

[AQ!]
 …とまあ、ごく概略をメモっても複雑で手が込んでおり、それが深みや陰影に繋がっているのだが、一方、いただいた感触の方を書き残しておくなら、多くの皿が「何か一つのモノ」に結晶した料理…と感じられ、ダイレクトにこちらに響いてくる、ということが言える。
 そして、あまりに単純だが言ってしまえば「猛烈に美味いんで」「細かいことはどうでもよくなっちゃう」料理が、多い。
 悠悠たるボーンホルムの自然、渺渺たるKadeauの皿。ま、好きだなあ♪

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 Kadeau Bornholm。ようやくに辿り着けば、我らが世の楽園。
 まあKadeauはねえ、何年もに渡って、写真を見れば好みに違いなく、話を聞けば好みに違いなく、出身者と言えば春田シェフに安田シェフで、、、「高確率でアタリ」を越えて「行く前から信頼感」に近いものがあって、旅の食い歩き特有の「意外性ある出会い感」がでんでん少っない…のだけが、玉に瑕ざんす(笑)(違)。ヽ( ´▽`)丿

PS
 ワインペアリングは真面目に合わせこまれて問題ない。
 ただ、特別な面白みはなく、6杯で1000DKK/1人…となる。北欧はワインが高いのは承知の介だが、単体ワインリストもあるし、特にペアリング好きな人以外はボトル注文も十分に視野に入るようには感じた。
 個人的には、料理がビッグバンインパクトなんで、逆にワインは穏当なのを1本置いときゃいいか、って感じも多少…


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by aqishii | 2018-08-16 20:42 | 美味しい日々 | Comments(0)


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