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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2018年 10月 18日

秋の兆しを岩っ手 -Celebrating the signs of autumn- (4)

 8月末~9月頭の話。「夏休み最後の思い出写真」整理中…モード(^^;)。
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 バスでCielarko駅(花巻駅)へ。
 駅蕎麦に「賢治そば」がある。「やっぱり油揚げよね」と喜ぶへべ。
 駅舎横に、「鹿踊り」の扮装展示。「YOKAI NO SHIMA」調だ。
 東北本線で盛岡。沿線をぼーっと眺めてるとやはり賢治が随所に出てくる。さすがは「外国人に聞いた尊敬する日本人」25位。

 *Hors-d'oeuvre divers
  前菜の盛合せ
 *Creme de potiron (froide)
  南瓜のクリームスープ(冷製)
 *Ainame grille a la Jamaiquaine
  大船渡産アイナメの炭火焼、ジャマイカ風
 *Gras-double a l'estragon, Nouilles fraiches aux epinards
  牛ハチノス(第二胃)のトマト煮、エストラゴン風味、ホウレン草入り手打パスタ添え
 *Tripes a la marocaine couscous de Quinoa
  佐助豚テッポウ(直腸)のモロッコ風煮込み、キノアのクスクス風添え
 *3 glaces
  三種氷菓
 +Kronenburg 1664
 +14 Chateau L'Hospitalet La Reserve La Clape Gerard Bertrand
 +Cafe

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 えーと、盛岡の「シェ・ジャニー」へ、行きました。
 えーと、話せば長い…ってか、お店の歴史があり過ぎるような一軒。看板に「depuis 1969」と書いてあって、しかもその当代だというとんでもないウチなのだ。
 その歴史はご承知の方も多かろうし、そうでなければネットで検索してもらえば、詳しい記述が色々と転がっている。

 で、1969年オープンのシェ・ジャニーが東京は渋谷を去ったのが1985年。ワタシはぎりリアルタイムで名前は知っていたが(当時の「グルマン」も初年度1984年版には名前がある)、訪問は(到底)叶わず。
(実はこの「グルマン」関係も壮絶な(笑)裏話がある、キョーミおありの方は細かく検索されれば出てきますぜ(笑))
 その後、安比で開店したのも情報としては知ってはいたのだが、、、。
 で、それが2015年、安比30年を節として盛岡(の駅からも遠からずな材木町)へ移られた…と聞いた。

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 …そんなところに、今回の岩手旅行である。
 すぐにシェ・ジャニーの名前を思い出した。けど、「わーい、シェ・ジャニーへ行けるぜルンルン」…って感じではなかった。
 腕組みしてウ~ンと唸る。
 ウチは二人して「ラララ科学の子」ではあるのだが、同時にすごく「運命論者」なのである。
 (店との)出会い、は「神のお引き合わせ」みたいなものだと思っているところがある。そしてまた、「何でも押し掛ければいい、ってもんじゃない」とも思ってるところはある。
 要するに、悩む。
 ぶっちゃければ、出し遅れの証文…って言葉もあるように、遅過ぎるレジェンド訪問ではないのか、とか。異なる世代の空間を荒しに行くようではないのか、とか。
 行くべし…なのかなあ?
 まあしかし結局、好奇心に負けて(?)盛岡に電話することになり、後に、色んな神様に感謝することになる(笑)。

 やっぱりシェ・ジャニーへ行こう、と決まって、へべは「あ、そうだ」とトイレ前のグルメ本棚から一冊の文庫本を出してきて読んでいた。
●古波蔵保好「ステーキの焼き加減」
 この本にはジャニーさんがよく出てくるのである。あるが、この文庫本、出してきてみると、もう、紙なんかまっ茶色なワケ(活字が沈みこんでいる)。古波蔵さんだって亡くなって20年近くになるし、登場人物もほとんど「歴史上」みたいな感じなワケ。
 なんか、年月の厚みが、想像を絶している(^^;)。

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***

 材木町のお店は、盛岡駅から歩いても15分くらいか。100円循環バスで2停留所くらい乗ると更に近い。
 いい天気。太陽が眩しい。
 さりげなく建つ、小体な店。クリーンで愛らしい。
 事前要予約の日曜昼、このランチは僕らだけ。

 真ん中の席につく。
 オーディオセットの正面。JBLの4348をアキュフェーズでドライブする。
(…ってのが、後々になってみると、実に、「らしい」。オールドの4343…とかじゃなくて。4348をアキュフェーズ…って、イメージで言えば「ダイナミックでリジッド…で艶がある」って感じでそ? うーん、料理とリンクしてるわ(笑))

 料理は電話の事前相談、「おまかせ」で予算を決めてある。
「内臓とかも大丈夫ですか?」「大好きです」
 と、まんまをお答えしていたのだけど、それは「大当たり♪」となる。
 外の太陽の張り切り具合に敬意を表して乾杯はクローネンブルグ、後にほどよさそうな赤を一本。

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Hors-d'oeuvre divers
 コハダのマリネ、モロッコ風ラタトゥイユ、人参のモロッコ風
 鶏レバーパテ、ピクルス
 見た目は穏やかな、少なくとも驚くものではない盛合せなのだが、いただき始めると、ピピピっ…と背筋が伸びる。ピシリと決まった、正確な、そして粋な…。正調に美味しい♪
 “これはイイお昼になりますな”…と2人で目配せ、、、とかする所だけ食い意地のベテランなのがどうなのかね、ワシら(笑)。
 それにしても、レバパテのナイフが可愛い。

Creme de potiron (froide)
 ナチュールなポティロンの香りで夏を整えて。


Ainame grillé à la Jamaïquaine
 大船渡産アイナメの炭火焼、ジャマイカ風

 おお!…っと、ドン♪ 迫力ある存在感。その前ちょっと台風で魚の手配など心配だったそうだけど、いいアイナメが入ってきて…とのこと。それを、香草マリネ焼のちょいスパイシー版=ジャマイカ風…で(へえ!)。
 文句なく旨い、夏の焼き魚。
 大きめのミニトマトがまた、素晴らしい働き。…ですねえ、と後で言うと、「ま、ちょっと前から塩して置いとくとイイよ」だそう。

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Gras-double a l'estragon, Nouilles fraiches aux épinards
 牛ハチノス(第二胃)のトマト煮、エストラゴン風味、ホウレン草入り手打パスタ添え

 う、うう、美味い!
 まず言うべきなのは、この豊かな誘惑の力のことなのだろうか、この端正な品格のことなのだろうか、、、
 凡百のハチノストマト煮の「ウマイんだからいいっしょ、こんなもんでヨロシク」感から100万光年離れた、フィネスのあるフランス料理である。

 皿が進むに従い、しょーじきに記しておくと(何でもしょーじきに書き残しておけばいい、というものでもないが(^_^;))、2人どちらともなく
“うわあ現役だあ”
 …という呟きが漏れる。(…というのも失礼な話なのだが、、、)

 そのココロは、、、
 まあボクら、普段、なんだかんだ前振りの情報があっても、お店に伺う時はけっこー白紙に戻って行くんですよ。ヒトに聞いた話程度に振り回されてウマイもマズイもわからん、とかサイアクだから(笑)。
 コチラでもそれはそうなんだけど、この日記でも散々、前振りしてしまったくらい、「シェ・ジャニー」ともなると「まるっきり白紙」ってワケではない。
 どっかには「レジェンドの表敬訪問」かなあ…みたいなアタマ、ってのは残ってたのよね。
 それが、食べてみて、ばっさーんと現実の大波に洗われる、というか。
 つまり、どこか「シニア・オリンピック」みたいな気持ちであったのが、行ってみたら「オリンピックだった」という。
 9秒なんちゃらで駆け抜ける世界だったという。

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Tripes a la marocaine couscous de Quinoa
 佐助豚テッポウ(直腸)のモロッコ風煮込み、キノアのクスクス風添え

 入店時、卓上に本日コースの品書きが置かれていた。
 着席しながらざっと一瞥、目がこの料理名にさしかかって二人、内心、既に小躍りしていた一品、かな(笑)。
 欣喜雀躍…小スズメがピョン、とはワシらのことである(^^;)。
 電話の時、「内臓は?」と聞かれてナニゲに…というかただしょーじきに「大好き」と答えたのが、報われました(笑)。

 とはいえ、ホントに書き残しておかねばイカンのは食べてからの話w。
 ああ美味しい。キレイで、豊かだ。
 ホントに小躍りも大躍りもしたいような旨さの一方、どこか凛としている。へべがジャニーさんのブログのどっかに「抑えること・正しくコントロールすることが品を生む」…みたいな記述があったよ、と言うのだが、まさにそういう感じかなあ。
 艶然と微笑む、大腸。
 アリサ添え。クスクスがキノア…というのは色んな意味でナイスアイデア。


コンテとアペリシェーヴル
 チーズの用意もありますが、とのことで、いただく。
 最近はチーズの段はパスすることがほとんどだけど、コチラでは流れと空気がチーズへ誘う。
 アペリシェーヴル、ちゃーみんぐ。

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3 glaces
 有機レモンシャーベット、ブルーベリーシャーベット、塩キャラメルアイスクリーム
 すっきりナチュラルな3色、火照りをさます。

***

 春田光治シェフ、1940年生まれ。最後にご挨拶できて本当に良かった。
 シェフはお店ブログの更新が熱心な方で、後日談になるが、数日後にはボクらが行った時の話もあがっていた。そこで、
「見事な食べっぷりで完食して頂きました」
 と書いていただいていたのだが、ほんとにキレイに食べた(笑)。舐めるように食べた(舐めてないよ(^^;))。
 まあボクら、まず大概、完食はする方だが、この日はソースの一滴も残ってなかったように思う。
 何かさあ、「見事な食べっぷり」と言ってもらえるのが一番イイし、こちらも結局、料理については、「見事な食べっぷり」をお見せできるのが、一番イイ。(笑)

 ジャニーさん。
 ボクらには、しみじみした味、や、豪快な味、とはちょっと違って、明晰で居住まいを正した、だけど蕩ける味。
 …怖い味、ではある。




by aqishii | 2018-10-18 13:39 | 美味しい日々 | Comments(0)


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