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AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2023年 01月 08日

2022年、ボクらの新しき天体

 我が家恒例、当年の、「新しき天体」((C)ブリア=サヴァラン)…との出会いメモ。

 「その年初めて行った店の中で、“また行きたい”と思った魅力的な店」…の覚え書きでふ。

 ボクらの新しい出会い…ということで、とくに新規開業店とは限らない。そんなに新店に行くわけじゃないし(笑)。
 何の役に立つかようわからんし(^^;)、直接的に有意なもんじゃないけど、毎年、固定的視座で積み上げて行けば、考現学的興味は湧くかな、と。経時的エッセイにはなるかな、と。そんなメモです。
 文中、アタリだのハズレだの言ってますが、ま、「ウチの好みとの相性」の話で大したこっちゃありませんので、悪しからず(^^;)。

 「新しき天体」…という言葉に厳密に沿えば、「初めて行った店」というより「初めて出会ったシェフ(の料理)」の話が中心…ということになります。

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●2022年
[へべ]
 思いがけず、いろいろと異例な年になりました。おいしく食べて飲んで味わえることのありがたみを、改めてしみじみとかみしめたりもして。ままならない時期もありつつ、それでもこうして一年を振り返ってみると、新しい、わくわくする出会いの数々があったのは嬉しいです。

[AQ!]
 異例…にして、意外…な年だった。
 まあ何せワタクシめ、生まれてこのかた…の大きな病気をやっていたんで、そもそも食べ歩き期間が通常の年の2~3割減であった。
 …ということがまず、あるのだが、それを別にして…も意外感のある年だった。
 2022年を迎えるにあたっての、当家の食べ歩き方針は、
「コロナ自粛も3年目、こっちは還暦過ぎた老人だし、まあ知り合いんとこ中心に、ぼちぼち・のろのろと回ろう」
 という、実に、地味~~な、「新しき天体との出会い」にとっては消極的な、ものであった。そしてそこにもってきての、「病気の発覚」という、寂しい事態であった。
 …のだが、ところがギッチョンチョン、この2022年という(我々にとって短い)年…は、その「新しき天体」のメモは、1年を通してみると、なかなかに、大ゴマも多く多士済々に揃った新星たちの、所謂「豊作」な年になっている。それはちょっとした、驚きでありました。


●これは一つの事件です
[へべ]
 北海道・栗山『味道広路』(2001オープン)。日本料理の静かな革命は、こんな風に各地で静かに根を張り芽吹いて、すでに始まっているのかもしれません。
 「うわー、なにこれ大好き」と「親分!こいつは大変(てーへん)だ!!」の大波に、左右から同時にザッパーンと襲いかかられ、あとはもうハラホロヒレハレと…道産ワインのグラスを片手にニンマリ笑いながら、幸せのまにまに押し流されてゆくしかありません。あぁ、また行きたい…。
 
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[AQ!]
 札幌から1時間半ほど、ワインで有名な栗山町に潜む日本料理店はこの数年「訪問候補」リスト上位にあったのだが、今年初めて伺う。
 いやあ素晴らしい!目覚ましい!…なんかストレートに好き過ぎてビックリwだった。
 「新しき日本料理」とでも言うべき息吹が、ある。それはまず、どっさりと盛り込まれた北海道の美味ふんだん…の喜びだが、実はじっくり見れば、とても細心に慎重に打ち捨てられた「和食のしがらみ」みたいな部分が、料理全体のダイナミックな魅力を作っているように感じられる。
 …ってな料理の話で称揚しようとすると、「いやいや(笑)そんなことより、、この丘の向こうのドメーヌなんですけど…」とワインの話にもってくのが大好き…な、穏やかな御主人(招福楼出身)も、めっさ美味(^^;)。


●モダン・イノベイティブ界にも静かな旋風
[へべ]
 京都・北大路『middle』(2021オープン)、中目黒の『Cocon』(2021オープン)、早稲田の『脳裡』(2019オープン)…こういう、ちょっと一言では名状しがたいタイプの新天体に出会ったときこそ、食いしん坊をやってきて、そしてモダン・イノベイティブを食べてきてよかったなぁ、とつくづく思うのでした。
 藤尾康浩シェフとはかねてからのご縁もあって純然たる「新しき天体」枠ではありませんが、独立後、自身の店として2021年10月に『middle』をオープン。修行時代に培った仏・和の技術を駆使しつつ、静謐な味わいから豪胆な豊かさまで起伏に富んだコースを供していて、独自の感性と深い思索、思い切りの良さのバランスが見事です。
 栗脇正貢シェフの『Cocon』では、仏料理の基礎力と豪州でひらかれた自由な視点から繰り出される“栗脇料理”が、のびやかで楽しくて。そういえばCoconへの初訪問は、若きEL-JEFE NOAH氏とのコラボイベントの折でしたが、彼がまた、アンファンテリブルもここまできたかと舌を巻くよりほかない驚異の新天体で…すごい時代になったものです。
 『脳裡』五十嵐俊介シェフの、食材の声に静かに耳を傾けるような料理は、器や店の空間とあいまって、どこか遠い旅先で出会ったような心持ちを誘います。早稲田だけど。
 INUAの…という文脈で語られることが多い滋賀・湖北の『SOWER』(2022オープン)も、料理長のコールマン・グリフィン率いる若いチームの士気高く、いい仕事をしていました。これからの進化・深化が楽しみです。

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[AQ!]
 1月にあった「EL-JEFE NOAH x Cocon」コラボ…は、「意外な2022年」の象徴的イベントとして記憶された。“田井將貴~崎楓真ときて次はこのヒトですよ”…と軽い口調で紹介された“超若手”シェフ枠EL-JEFE NOAH氏は、学生シェフ…とでも言えばいいのか、驚嘆させられたものだが、まだ店はおろか針路も定かではない…ということで、ここでは出会いの名前だけ記すに留める。
 …んだけど、その日のコラボの相方、ボクら聞いたこともなかった『Cocon』という店の(仲介者に)紹介もされなかった栗脇シェフ…の料理、、、にこれまた驚嘆、感銘を受けました。(栗脇シェフの方は「あ、前から読んでます(笑)」…とボクらのことをご存じのようであったが(^^;))
 とにかく、レベル高い。鮮やかで、スケールが大きい。明るく美味い。
 イノベイティブな側面が主張すべき個性なんだろうけど、「肉、(単に)焼いただけでうめぇ」…みたいなギフテッドな腕前。
 修業先履歴を聞くと、ああ…なるほど、と思う錚々たるキャリアなんだけど、わりとそこはオクビにも出さずにやってる感じも排気量の大きさかな(まあ、修業先はごっついヒトほど黙ってる…って傾向は一般にあるけどね)。
 …しかし、そーゆー点を含め、『middle』藤尾シェフもそうだけど、今年は「ライト隠れ家」っぽい店・シェフ…が目についた。「(世間から)ちょっと隠れてる…のかなあ?」というタイプ。まあボクら爺婆の感度が落ちてるだけ…って話もあるが(笑)、もっと簡単にウェイウェイやってそうな内容・売り文句のある店が、静~かにやってる…て印象を持つことが多かった。
 別の店のセリフだけど、「まあ要するにウチの場合、予約をキャンセルするお客さんとか・食べロガーとか・変なインスタグラマーとか…が来なければどなたでもイイんですがね(笑)」なんてのがあったが、そんな傾向の話がより目立つようになってきた2022年かな。
 そんな『Cocon』だけど、コラボ含めて2回しか行けなかったのは、ワタシの病気のせい(^^;)でしたわ。2023年はそこは良くなるといいなあ(^^;)。
 『Cocon』は限られた席数でワンオペ、秀逸なワインペアリングも完全に自分で面倒をみている。フランス料理方向だけでもメインステージに進めそうな店だが、やっぱ自己紹介の切り口は「モダンオーストラリアン」を押し立ててるようだ。あんまし他にいないし、いいかも。

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 『脳裡』『Old Nepal』の本田さんから教わるまで全然知らなかった店。
 「早稲田“だけど”」…はすごく言えてて、「都会の店なのに」大地の味とか風の味…などを思うような、プリミティブな感覚がある。不思議な感性で、再訪・再々訪せんと(良い意味で)よく掴めんわ…という新世代の風合いにワクテカ。
 ついでにハコもフシギ物件。こちらも少ない席数・ワンオペ+α、と、最近のマニアックガストロの一つの形。
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 『SOWER』はそれこそ「INUAの…という文脈」で伺い、その意味で“わかってるつもり”だった…というとこからすると、裏切られるほど驚くほど、美味しかった(笑)♪ 冴え冴えとしていて綺麗…うん、ウチとしては関西に旅行するなら一考に入れたい一軒。
 しかし『SOWER』も、INUA絡みで宣伝すればウェイウェイの大評判!…とかになりそうなもんだけど、不思議に「静か」目で進行・潜行してるなあ。何なんだろう。INUAの名前を押し立て過ぎると“コールマンはnomaでは修業してない”あたりが何となくチグハグる…みたいな感じかなあ(勿論そんなん、どうでもいいけど…というか、コールマンいただくとBenuは気になってくる)。
 ペアリングは、アンドレの長谷川さんが監修してる。

 しかし、『味道広路』『middle』『脳裡』『SOWER』…いずれも見ようによっては「新和食」と言えるような気はする。こっちのコレがホントの新和食だからね(笑)…みたいな感じw。
 まあある意味、とーぜん、今はそーゆー、歴史の頃合であるかなあ。


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●古民家リノベ
[へべ]
 ところで、この欄(年代記)的には、いいなぁ、と思ったレストランを紹介しようとしたら「民家をリノベした一軒家レストラン」だった回数が多いじゃないの…と思ったこともメモメモでしょうか。『脳裡』『eman』(2021オープン)『AC House』(2022オープン)、あと時限企画かもしれませんが越谷『modest』(2018オープン)あたりも。
 清澄白河『eman』は小林悟シェフの現代スペイン、めちゃめちゃいい感じにスタートしていて、予約難で行けなくなることだけが心配です~。
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 異色の“白リノベ”がかっこいいのは西麻布『AC House』。黒田敦喜シェフの開店時は大盛り上がりで、聞いた話ではパトカーもお祝いに駆けつけたとか…(絶対違)ヽ(^o^)ノ

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[AQ!]
 小林・黒田シェフはボクら既知の、いわゆる「新しき天体」では無い枠だけど、大成功おめでとう。
 黒田シェフは此処にも何回か書いてきてるし、小林シェフはアスルメンディ~アコルドゥ~パンサ…とボクらも縁がある履歴、パンサ当時も手応えバッチシだったが『eman』はもう、予約がやばいという心配に進行中(^^;)。ただ、マニアのみならず、モダンスパニッシュ・デビュー組にもお薦めの一軒。

 『modest』は我が家的「発見」…けっこー長いこと、「埼玉のレストラン」は探してた。“東北や新潟・群馬旅行の帰りがけの最後のワンディナー”という意味合いで、なんだけど、なかなかイイ大玉に巡り会わなかったんだけど、『modest』はドッカン♪…こちらは気を高めて伺うべし!…な本格店。古民家型・野菜はご両親の作…だっけかな、のファームレストラン型。石川シェフは「独学派」の色合いが濃いめ…(独学派には多いような気がする)(良い意味で)鼻っ柱の強いw、剛の料理人。
 店立地は越谷駅から多少あるのだが、それを含めて例えば大手町から1時間程度の距離なんで、まあ「東京のレストラン」の範囲内の使い勝手…だとも言える。…ただそのせいで各種「地方レストラン特集」とかに入り損ねる…ような痛し痒しな部分、もあるのかな(笑)。
 あと今年は「古民家リノベ」って言い方でいいかわからんが、その筋の大モノ『里山十帖』(2014オープン)に初見参。さすがでした。


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●各国を旅する気持ちで
[へべ]
 いちばん近い韓国や台湾にもなかなか行けないなぁ…と思っていたら出会ったのが、東大前『ビストロ・ジョンジ』(2022オープン)。釜山出身のシェフ、キム・スジンさんが営む小さなお店で、味噌やコチュジャンもスジンさんの手作り。韓国伝統の丁寧な手仕事をベースにした、クリアで上質なモダン・コリアンが味わえます。
 そして恵比寿ではマルコ・ガルシア シェフの夢とアイデアが詰まった『TACOS BAR』(2022オープン)がいよいよ発進。マルコ、おめでとう!
 同じく恵比寿には木屋太一シェフのモダン・メキシカン『Kiyas』(2018オープン)もあって、メキシコ濃度が急上昇中です♪
 気になっていた市ケ谷の『牧谿』(2020オープン)にも、とある春の雨の夜に突撃。ツボ草って何?と言いながら鯉のカレーやナマズの炒飯やら楽しくいただきましたが、黒板にはまだまだほかにも気になるメニューがぁぁぁ…。
 モダンエスニックで話題のお店、南インド『Seabird Colony 銀座』(2021オープン)、スリランカ『ホッパーズ』(2021オープン)あたりへも社会科見学に出かけて、「モダン」名乗りのすそ野の広がりを体感してきました(なんのこっちゃ)。

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[AQ!]
 「きちんと伝統を掘り下げた上で自分のフィルターを通して現代に供す」スタイル…という意味での”モダンエスニック”の大波、、、の中で、いちばんありそうなのに隣国のモダンコリアンには中々出会わんなあ…と言うてたら、カキーン!…と来た来た『ジョンジ』。もうのっけから、嬉しくなるほどすんなり入ってくる美味。「手作り」の静かな迫力。
 モダンコリアンはこれまで、『ソソンジェ』 『ハンガウィ』 『アルムダン』…と内容良いのに短命組が目立ったので、スジンちゃんは是非とも応援したい。
 マルコ『Tacos Bar』は、、、フツーに考えれば、2023のメインステージでスポットを浴びてる、、、筈(予言)♪
 『牧谿』は「創作スパイス料理」枠…ってことになると思うのだが、流行りの「大阪カレー」「スパイスカレー」ブーム…に対して、「シリアスな本当に美味しい」バージョン解答編を突き付ける…みたいな印象w。
 …あと、ですねえ、我が家は2022年になって初めて『マジックスパイス 札幌本店』(1993オープン)に行ってみたんですけどね~(^^;)、「ベジタブル 覚醒」をいただくと、これがですね、ほぼまんま、ソトアヤムなんですわ~。札幌スープカレー史によく「ソトアヤムを土台として…」と出てくるけど、ほんままんまソトアヤムで、いやあなるほど…


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●北の国から
 その『マジックスパイス 札幌本店』や『味道広路』もだけど、2022年は北海道をちょっち回って新規も行った。
 『アグリスケープ』(2019オープン)のアグリなスケープが楽し過ぐる♪ 『バンケット』若杉シェフに教わった自家生産型ファームレストランだけど、野菜ハーブから、鶏・豚・羊まで育てちゃう旺盛な店。円山公園駅からタクシー15分…なのにえらい山の中、なのは一種の地の利。『ル・ミュゼ』出身の女性シェフ。
 …とたしかに愉快な売り文句が山盛りだが、料理がまた良い。とても素直な、スムーズなモダンフレンチで、ヴィヴィッドな美味さ。また行きたい。

 楽しさでは稲穂の『パルコフィエラ』(2020オープン)も負けていない。こちらも生ハムとか中心に「作っちゃうで」型のイタリアン。まずイタリアンのミニコースをいただいた後で・10数品のハムのコースが出る…という変則スタイル。
 この店、以前からちょっと気になってててスケジュールの隙間に無理やり突っ込んだもんで、ワタシはレンタカー運転で、へべだけ「呑み」。…だが、中條シェフにも言われたがw、どーみてもコチラ、「呑み、よろし」よね、とゆーわけで、再訪決定(^^;)。駅前の店なんで、行くだけなら電車でもイージーでふ。
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 余市の『サグラ』(2017オープン)なんだけど、実は2020年GWに予約を入れていた。…のだがその年、コロナ禍でお店は休店を決意、「すいませんキャンセルさせてください」と悲しい連絡がありました。
 …の復讐戦(^^;)。いやはや。…勢いの流れ、としては2020年に来たかったけど。
 それにしても「隣がドメーヌタカヒコ」って立地は偉大やわ♪

 同じく2020年にお店からキャンセルを食らっていた『月下翁』(2017オープン)、高橋シェフは旧知だけど店にはやっと行けた。ススキノど真ん中ながら、じっくりしっとりと腰を落ち着けて。
 蕎麦の『蔵美庭 -gravity-』(2021オープン)、ハンバーガーの『ジャクソンビル』(2013オープン)は、ウチなんかだと、お昼に持ってきてとても使い勝手の良い店。
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2022年、ボクらの新しき天体_e0254271_17155875.jpg 日本のその他の地方…では、東津山『Cielo』(2011オープン)は昨今の地方レストランブームにライドオンするイタリアンで、ご当地掘りに一層の期待がかかる感じ。
 同じ岡山県では、実は本年、2019年に『A』を閉めたUさんが新店『N』をオープンさせており、コチラは我が家的には2022年最大級のニュースかつ2022年最も美味しかった一軒なのだけど、実はまだプレオープン状態で店の情報オープン指針が定まっていない…ってワケで、匿名でシツレイ。『A』の常連だった皆さまには熱烈お薦め!
 あ、そうそう、岡山で駅前の珈琲…で『折り鶴』さんに「行ってみて…わお!」。モカ標~美美森光~を正統に継ぐ深さに、珈琲の道…を見る。行ってヨカッタ。(他に地方珈琲では、鎌倉『シャドレ』は深甘苦…の未来を担う若さが眩しいw)
 あと話題にならん話だけど、新潟ってバーガーのレベル高くね?…がミニ発見。『レザートランプキッチン』(2015オープン)・『Burger Stand Tender』(2018オープン)は新潟のお昼を絶妙に満足させてくれる。とくに好み的には、『Burger Stand Tender』は再訪必至。
 話題になりやすい中では、隆盛を誇る大阪スパニッシュにまた便利に登場した『コメル。』(2021オープン)。梅田の阪急でコレが食えるんやもんねぇ。…あ、アコルドゥ川島シェフ由縁の店としては、東京新橋『TOKi』(2021オープン)も店舗営業としては初訪問、すんごい充実してた。


●繚乱のフランス料理
 フランス料理…の話だけど、まあ色々な言い方をする人がいるけど、思うに、東京のフランス料理はもう根本的には、百花繚乱…ということでイイんじゃね?、とは思っとりやす(^^;)。いや、いい時代ですよ。
 …だけに、まあそれぞれ好きなとこに行けばいいんじゃね?…って感覚が、通底してはいるのだが。
2022年、ボクらの新しき天体_e0254271_17214249.jpg で、さて、まず話題の一軒ということでは、1月に『セザン』(2021オープン)に行った。料理は、客観的も主観的にも、素晴らしい!…のひと言。かな~り好き♪、だし、そーとーレベル高いんじゃね?♪
 …というのはしょーじきな感想なのだが、一方、ここが“フランス料理”…で、「自分たちの食べ歩き」って観点で見ると、「超一流ホテルのメインダイニングのきらびやかの中で一流のお客様どなたにもご満足いただける献立をそれ相応の対価でいただく」…って、まあ、ボタンの掛け違い…とまでは言わないけど、あまりフィットしてないミートしてない…ってとこは、あるっちゃある、かなあ。ボクら、コスパ的側面にはかなり鈍感な方なんだけど、でも、自分らの要らんとこにごっちゃり乗っかってる感じ…て、気分的に座りが悪いとこはある。そこを突き抜ける唯一無二性…とかではないし。高額・流行りの食材を駆使して/評価高そうな・流行りの味わいに着地させる、、、ってとこは、動かせないだろうし。
 再訪は、案~外、先になるかなあ、という気もす。

 『トポロジー』(2018オープン)、『ビストロアマノ』(2020オープン)、『イエット』(2021オープン)、『アシエット カフェ』 (2021オープン)、『ラドレ』(2018オープン)。
 今はみんな、優秀だなあ(溜息)(笑)。
 目黒の『トポロジー』・神保町『ビストロアマノ』は、根性の入ったビストロ。漢っ気あるブルっとした皿…に見えて、でも落ち着いてみるとやっぱ、(良い意味)ネオビス…な、現代の口に着地して供されている印象。(まあ端的に言えば塩分量が(笑))
 お店はサッパリして使い易く、で。昨今、日常タイプの店をすぐ「近所にあったらいいな」系…とまとめてしまう、のって、イージー過ぎじゃね?とは思うのだが、やっぱり「近所にあったらいいな」「何かのついでにバッチシ」なのは、間違いないす(^^;)。
 豪徳寺『イエット』も上記2軒とその辺一緒、だが、一点特徴があって「昼はお菓子屋」な顔を持つ。昼パティスリー・夜ビストロ…って昔からたま~にあって、最近もちょこちょこ見るけど、ソレ。夜のビストロでも、デセールには“ハッとする”とこ、あり。
 成城『アシエット カフェ』は、『アシエット』が息子シェフ世代に遷移する中で新規スタートさせた店内新店だけど、むっちゃイイとこどりになってる「近隣ありがたし」店。

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 千歳船橋『ラドレ』も、“根性ビストロ”としてはこのジャンル。…だけど、なんだろ、妙に集中力のある部分があって、ボクら個人的に「気になってる」と書いときたい。
 訪問後、料理自体が似てることはあるんだけど、2人とも感想が「90年代前半の斉須さんとこが懐かしいね」…だった。
 「90年代コートドール:ラドレ」は、「都心高級:郊外手頃」「レストラン:ビストロ」「有名シェフ:近所型」…と“何も似てない”のだがヽ(^~^;)ノ、何か「覚えのある」感じがする凝集的手仕事を感じさせる料理なのだ。
 90年代コートドールの夢の階段(まあ、あまりにお客が来なくて松下さんが不貞寝してたりするのだがw)をもう一度登る(…いや「同じように」では無くて構わないのだが)夢、を見ながら、2023年も行ってみたいと思う。
 …ところで「ネタばれ」になる…意味合いでは書かない方がいいかもしれないが、こちらのエントランス…って、なかなかのインパクトだと思う(笑)。

 「フランス料理修業歴あり」でここに混ぜてしまうが、洋食の『448 LIBERMENT』(2017オープン)も再訪希望店。ラムロワーズマルコンで修業してる早乙女シェフが「洋食」に取り組む店。
 …だが、この店、そっちの文脈でみつけたわけではない。
 ボクらのちょっと「懐かしさを含めキョーミある」料理に「シャリアピンステーキ」とゆーものがある。
 ワタシの小学生時代…くらいか、肉じゃがとかが流行りだすよりちょっと前に流行っていた懐かし料理。ま、“玉葱大量炒めを用いたビーフステーキ”なんだけどね。これが、“ウマい!”ってほどのものではないけど“なんかまあアリ♪”みたいなんだけど、昨今滅多に目にしない。多少、気になる。
 この料理、ロシアの歌手シャリアピンに帝国ホテルが創作して食わせた…という由来がわかってる代物で、そーゆー意味じゃ「ホンモノ」が帝国のブラッスリーに行けば今でも食べれて、まあソレでいちおーの満足をするのだけど、何か今の帝国のだと、「現代の高級牛肉」に沿わせた料理になっちゃってて、当時に家庭でまで流行った「シャリアピンステーキ」のビヨンドを思うには何か違うのよね。
 …という訳で、「じゃない」シャリアピンステーキを探してたんだけど、それでみつけたのがこの『448』。
 行きました・食べました・\(@▽@)/、、、おもろウマイ! その曰くのシャリアピンステーキ以外もかなり注目ですわ、コチラ。
 その他、洋食店では、『遠山』(2017オープン)・『カタヤマ』(1946オープン)で、それぞれの“時代感覚”を味わう♪


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●中国料理、そして総括
 吉祥寺『雲蓉』(2018オープン)も話題店。…う~ん、「ジビーフと愛農ポークで麻婆豆腐」作っちゃう…って、めっさバチ当たりな奴っちゃなあ(笑)・麻婆の原点の逆やないか~い(笑)…が、独特な旨さ(そりゃそうじゃ、とも言うw)。ウチのキョーミとの合致度…は謎なところもあるがw、たまに行ってみたい一軒…とゆーか、「食べたいものは相談してみてください」とも仰ってました。竹爐山房なき後の「吉祥寺中華」を背負えるか?(笑)
 『粤港美食』(2020オープン)に煲仔飯食べに行きましたよ。客のガーチャイ(→PS)率がすんごい♪ しょーじき、お味の方は香港の街場のまあどうってことない店ぐらいなのだが、この熱と音波の説得力!


 、、、その熱に思う、、、じゃない、その熱じゃないけど、2022年に出会った、この数年に開店したお店の多くには、ひとつ思い当たる「熱」がある。
 静かに秘めた熱量が。
 ちょっと、2011年…大震災年のすぐ後に感じた感覚に似てるところがあるんだよなあ。
 大震災からのスタート/コロナ禍からのスタート
 つまり、「苦境の中からのスタート」って共通点になると思うんだけど、結局、「覚悟を決めてスタートした大震災スタート組」の多くは、強固なお店に育って行った印象がある。
 「コロナスタート組」…と呼べそうな、昨今の新店にも、そーゆー期待を込めつつ応援したい♪、、、と、そんなような、感じです。

PS:
 ↑で書いた「がーちゃい」は、広東人・香港人の意で、大昔は「広東語は中国人には“がーがー”聞こえるので、中国人が広東人をガーチャイと呼ぶんやで~」と習ったもんなんですが、いまググったら、昨今は「がーちゃい=架仔=日本人」…なんやて(^^;)。誤解なきよう…ってか、語学、ムズカシねぇ~



by aqishii | 2023-01-08 17:17 | 年代記(日本) | Comments(0)


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