AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉)

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2018年 10月 10日 ( 1 )


2018年 10月 10日

秋の兆しを岩っ手 -Celebrating the signs of autumn- (1)

 8月末~9月頭の話。「夏休み最後の思い出写真」整理中…モード(^^;)。
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 ストックホルム在住の友人から「日本へ帰るから岩手で呑もう♪」とのメール。
 何か知らんがそれは行かねばならんw。場所は遠野。
 遠野かあ。多少は日本のファンタジーにも関わる仕事をしていながら、遠野に行くのは初めてだ(^^;)。正確に言うと、通過したことはあるんだけど逗留は初めて。

 ランチ:焼鳥丼

 東京駅から東北新幹線でおでかけ。
 手短なランチなら何処ぞで食べられそう…なので、ざっと調べて、八重洲口の焼鳥「栄一」へ。
 11時15分くらいに行ってみたら玄関前の掃除中で、伺うと「11時半から」とのこと。
 出直して32分くらい着くと、もう数組が始まっていた。

 1階と地下があり、地下に案内される。
 昼はあっさりしたもんで「焼鳥丼」と「親子丼」の2種類だけ(それぞれ大盛可)。ビジネス街のランチらしい仕様で、はいソレはいソレと皆、たいらげていく。
 かなり多くの客が「焼鳥丼」をチョイスしていて、ワシらも焼鳥丼。
 ごはん・海苔に、もも・つくね・レバ・砂肝・鶉玉子…が焼鳥の串を外したような形で乗っかる。鳥スープとお新香。
 もう「見たまんま」としか言い様の無い、正統でまっつぐな丼。質実剛健ながらフワっとした焼鳥はさすがの名店。

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 新幹線ホームまで10分も見れば大丈夫だし、今日みたいなシチュエーションには覚えときたい感じだし、夜の本格焼鳥店モードも試したいね~。土日祝休…と、多少、休みは多い。

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 新花巻駅。
 ここで釜石線に乗り換える。新幹線と釜石線はほぼ直角に交差し、その交点に駅はあるのだが、釜石線新花巻駅を利用するには、新幹線駅から外に出て回り込んで地下を潜って…という経路を強いられる。
 そんな力関係(^^;)の路線は、1~3両程度(多くはワンマンカー)の編成でノンビリと走る。
 Stelaro駅からFolkloro駅まで小一時間。…ってさ、釜石線は別名「銀河ドリームライン」と言い、各駅はホーリーネーム…じゃないや、エスペラントでつけた別名称を持つ。…そうですわ。
 勿論、賢治にあやかって…のこと。さすが岩手です。
 Folkloro(遠野)駅は沿線中の主要駅。

 *ポテサラ団子・ベーコンクリーム 柚子・ワインのジュレ
 *くずきりと帆立の碗 青海苔がけ
 *雪下納豆のスフォルマート
 *帆立・大根の飯鮨 柿の葉
 *ヒラガニと雲丹のスープ仕立て
 *豚肉の熟鮓 胡桃・カリフラワー・実山椒
 *冬瓜 おおひらたけ・椎茸・木耳 鶏とその出汁
 *おにぎり茶漬(遠野1号) 2010年唐墨
 *コーン・ミモレット
 +民宿とおの 玄米スパークリング 遠野1号
 +どぶろく各種
 +14 Bonavita Rosato Terre Siciliane

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[AQ!]
 本日の宿、どぶろくオーベルジュ「とおの屋 要」は遠野駅前。…地図上は駅前なのだが「要」側に出口が無いのでグルっと回り込まないといけない(^^;)。
 近道は、駅を出てすぐ左手のスナック街…というか歓楽街路地を抜ける。抜けたところで左に折れると、釜石線を跨ぐ歩道橋。
 橋上からは駅や引込み線がパノラミックに望まれ、「鉄萌え」な感じw。
 …で、駅の反対側に回った辺りに、忽然と、趣きある囲いが現れる。

 「とおの屋 要」。そう言えば名前は伺ったことがあったけな…くらいの印象だったのだが、どぶろくニューウェーブの旗手。
 現代的なナチュールな、どぶろく作りに挑んでおり、ガストロ向けのわかりやすい話をすれば、Mugaritzでもペアリングに使われている。
 ご主人・佐々木要太郎氏は遠野最古の民宿「民宿とおの」(「要」に隣接)4代目であり、「とおの屋 要」は一日一組限定のオーベルジュとして営まれている。(詳しくは公式サイトをどうぞ)

 こちらでストックホルムのJさんら4名と合流して本日は6名で「一組」となる予定だが、ボクらが先着。17時過ぎ。夕飯は19時。
 いちばん乗り…で館内の案内。基本3部屋と小ぢんまりした宿は、うわービックリするくらい、落ち着いたお洒落さん♪ 民家調とアート調を上手に折り合いつけてる感じ。
 んで、おおそうだ「みんな来る前に風呂っちゃおうぜぃ」で、順繰りにお風呂をもらう。(檜がすんごく気持ち良さそ…だったから、とは言える(^^;))
 入ると、すんごく気持ちイイ(^^;)。勿論ただの沸かし湯だが、沸かし湯は馬鹿んなんない…その土地の水の入り心地は料理の食い心地に通暁するのだ!…という邪念を、比良山荘や徳山鮓で成長させているワシらは、今宵のディネへの期待を膨らませる(←バカw)。
「食堂は浴衣でいいですよ」と聞いたので、すっかり寛いで準備OK♪
 18時55分、仕事熱心な皆の衆も合流して、宴が始まる。

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[へべ]
 調度、アート、檜のお風呂、シャンプーやソープ、部屋の椅子、寝台、タオルケット…この空間内にあるすべてが目に心地良く、手触り良く、気持ちがゆったりほぐれてくるそんなオーベルジュでした。

ポテサラ団子
 じゃがいもサラダ。ベーコンとクリームチーズ。とろりとした柚子ビネガー。

[AQ!]
 大テーブルにつくと、卓上にクシャクシャに丸めた紙が放られている。おや、字が書いてあるぞ…とほぐしてみると、これがドリンクメニュー♪
 まずは泡…「民宿とおの 玄米スパークリング 遠野1号」で乾杯!

 ゴロリと芋…じゃがいも見立てのポテサラ…とでも言うか(笑)。お凌ぎ♪

くずきりと帆立の碗
 葛切りを被った帆立。楽しい食感。

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 さて、お猪口を選んで、どぶろく時代の幕開けである。
 ちなみに遠野市は、「どぶろく特区認定第1号」なのだ。
 まずはスタンダード。

[へべ]
 どぶろく。スタンダード、きもと、水もと、生酛の前?、など。
 水もとは古く鎌倉時代とか、生米を乳酸菌で。生酛は硝酸還元菌~亜硝酸でいったん無菌に。
 米の粒感、ふくよかできれいな酸味。賛否両論という玄米スパークリングは玄米の香ばしい香り。

雪下納豆のスフォルマート
 秋に大豆を収穫後に仕込んだ納豆を、朴葉でくるんで雪の下で熟成させたもの…が主役の一品だという。
 大ぶりなカマンベールくらいに成形し、表面は薄くこんがりパネしてある。てっぺんに黒い大粒のが一粒(とろりと柔らかくコク深く絶品)、中には納豆と枝豆、大根のもろみ漬など。
 これが旨い!

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[AQ!]
 めちゃウマ♪ 衝撃の美味さだガーン…とか言うよりはもうちょっと馴染みのある味わい…であるのだが、これがジワジワ、ジワジワと、やがて全身からジワジワ感がこみ上げてくるように、美味しい。

 で、どぶろく。ウチの亡くなった父親なんかも「ドブちゃん」とか言って作ってたもんだが、まあ近年、そう飲むものじゃなかったのだが、美味しいのだ、此処のどぶろく。
 すんご~く雑に言っちゃうと、日本酒より好きかも♪…とか呟いちゃうくらい(^^;)。
 真面目に言っても、ペアリング用途なんかには、とっても使い易いとオモタ。

帆立・大根の飯鮨
 緑深い柿の葉に、よく漬かった飯鮨。The発酵食…の誘惑。

ヒラガニと雲丹
 赤紫蘇の蓋を取ると、ヒラガニと雲丹のスープ碗。スターキャストの滋味な味わい。

豚肉の熟鮓 胡桃・カリフラワー・実山椒
 ヌッとそそり立つモダンな姿は、、、豚熟鮓!
 岩手の亜麻豚を、遠野1号・実山椒・ニンニク・塩で漬けて1ヵ月とか。
 うまいのなんのって、たまらんす♪
 やっぱ、ネームとかスワンローとか、アジア発酵肉料理をちょろっと思い出す部分もある味わい。

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[へべ]
 豚熟鮓、これは素晴らしい!
 表面炙って。実山椒。胡桃、カリフラワーなどピクルス。

[AQ!]
冬瓜 おおひらたけ・椎茸・木耳 鶏とその出汁
 卓上に現れる河童!、、、冬瓜鉢の射込みに緑の強い冬瓜で蓋をしているのが、カッパっぽいヽ( ´▽`)丿。
 中身は茸フェスタである。椎茸は「天然・栽培…というか、“勝手に”出たの」だそうw。
 へり削って側壁がペカペカになるまでいただく冬瓜の魅力♪

おにぎり茶漬(遠野1号) 2010年唐墨
 さっぱりと。本宴の“縁の下の仕掛け人”である遠野1号とここで直接ご対面w。
 そして、塩味に乗っている色濃い唐墨が、やたら凄い。聞くと、2010年の仕込みと言う。ぐむぅ(笑)。

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コーン・ミモレット
 お抹茶と。コーン香がフワッといただけて幸せ。
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 キャッキャと盛り上がっても気兼ねないのが、貸切のありがたさ(^^;)。
 めちゃ楽しいままに、箸が伸びる伸びる。美味しい。
 部分的には、イマジネイティブでイノベイティブな、モダンな料理なのだが、落ち着いた感じや打ち解けた感じ、胸襟開き固め!…みたいなワザの印象が上回るw。
 まあそこが発酵系料理の強みであろうが、こちらの連想が時に、岩手~賢治~遠野~國男…といった辺りを彷徨うのも確か♪
 翌日、田んぼ見学に行く折りに、要太郎さんに料理の方の基礎を聞いてみたのだが、
“まあ色々あるんだけど、「食べ歩き好きの独学」くらいが根幹”
 …みたいなことだった。
 それは、とても、腑に落ちる。



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by aqishii | 2018-10-10 13:28 | 美味しい日々 | Comments(0)